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2020. 9. 4.Up Dated.
安倍首相の辞任

 先日開催した大阪セミナーで、日本の政局(ポスト安倍)によって経済が変動するという解説を行いましたが、その一週間後に安倍首相が辞任するというニュースが飛び込んできました。
何れは起こると予想していましたが、全くの想定外の出来事で、こんなに早い段階でポスト安倍問題が起こるとは考えていませんでした。
私の解説では、ポスト安倍は安倍4選というのがグッドシナリオになっていましたが、このシナリオが消えましたので、バッドシナリオに向かいつつあるとも心配しています。
次期自民党総裁の任期は安倍首相の残存期間である1年のようですから、取り敢えず今後1年間の日本の状況を予想すると次のようになります。

① 東京オリンピックは開催中止
現在でもコロナウィルスの感染は収まっておらず、ワクチンの発売も早くても来春以 降と言われていますから、日本のような先進国でもコロナウィルスの脅威がトーンダウンするのは来春以降でしょう。
発展途上国は更に遅れますから、来夏開催のオリンピックの出場準備に掛かれない国が多くなり、結局は中止とせざるを得ない状況だと言えます。

② 経済的打撃が本格化する
既に景気の失速が確認され、コロナウィルス禍によって2020年度のGDPの大幅減少は避けられない状況ですから、即効性のある経済対策を打ち出せなければ景気悪化と失業率の上昇は避けられません。

③ 米中対立が更に激化する
11月の米国大統領選挙によってトランプ氏が再選されれば(セミナーテキストでの私の予想は6:4でトランプ氏有利としています)、先日発表された二期目の公約を見 る限り対中政策は更に厳しくなるでしょう。
一方、中国は今までの戦狼外交からパンダ外交へ一時的に転換させて、米国との対立 を避ける方向のようですから、必然的に日本への働き掛けを強めてくると考えられます。

④ 前項の見通しにより、日本の外交安保政策は米中の間での上手な舵取りが求められるが、トランプ氏は安倍首相でない日本の次期首相の話は聞かないだろう考えられる為、米中の間で日本は翻弄されてしまう。

私であっても、今後1年間であればこの程度の予想は容易につきますから、次期総裁候補と目される人達は、どれだけ困難な状況の中で政権を担当するかは分かるはずです。
普通に考えると、こんな時に政権を担当するのは貧乏くじですし、これだけマイナス材料の多い時に衆議院選挙(任期満了は来年10月)を行ったり、又は任期満了前に国会を解散して総選挙を実施したりすれば自民党の圧勝は無理ですし、少なくとも現有議席数を減らす選挙になると予想されますから、折角首相になっても長くても1年余で退陣することになってしまいます。
このような前提に立てば、次期首相は少なくとも安倍首相に比べて、更に明確な保守路線 (憲法改正等)を表明し、保守岩盤層の支持を固めなくはなりませんから、対中対韓政策も更に強硬路線に転じるしかなく、国内政策としては財務省が抵抗する消費税減税も実施しなくてはなりません。
これらの政策は自民党内の反発もありますし、オールドメディアを完全に敵に回しますか ら、国内外の敵と戦わなくてはなりません。
次期首相としてこれだけ苦労しても、成果は余り期待出来ません。乾坤一擲として北朝鮮拉致問題を一挙に解決できれば情勢は逆転しますが、これは運任せでしかありません。
これだけ難しい状況の中で自民党次期総裁は自民党の両院議員選挙で選出されるようですから、5派閥の支持を得た菅氏が当確だと思われます。
従って、ポスト安倍は菅氏になるのが確実な情勢です。

そこで、菅氏になると日本はどうなるのかですが、現段階では予測が出来ません。
国内経済対策についても明確な所は分かりませんから、コロナショックの影響がどの程度 まで広がっていくのか、経済の落ち込み幅がどの程度なのか、何時頃に回復軌道に向かうのかも見通せない状況です。
そうなると、先日の大阪セミナーで解説した内容はどうなるのかという事になりますので、改めて私の見方を説明します。
当面の国内状況には大きな変化がありませんから、少なくとも米国大統領選挙までは現状が続くと考えられます。
米国大統領選挙によってトランプ氏が再選されても、又バイデン氏が当選しても、世界は大きく変化し始めますから、日本が明確なポリシーを持って対処しなくてはならない局 面が増えてきます。
勿論100点満点の対処は不可能だと考えられますから、どの程度の成績を収めるかによ って日本の状態も変わってしまいます。
簡潔に言うと、現段階では日本経済の見通しは分かりませんので、変動要因がもう少し固 まり始めた段階で改めてレポートしようと考えています。


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