コラムトップ
2020. 8.14.Up Dated.
投資市場の怪

 日経平均株価は昨日2.3万円台を回復し、依然として好調な水準にあると言えます。
これはNY株式市場が好調なことが影響していると言えますが、NYダウも昨日は $2.8万弱とかなり高い水準を維持しています。
米国のコロナウィルス禍は未だ収まっていないですし、米中間は最早紛争状態に入っていますから、この状況で米国の株式市場が好調なのも何か解せません。
低金利と金融緩和によってマネーに過剰流動性が生じ、それが株式市場へ流入しているという説明もありますが、国際状勢の見方も関係があるのではないかと思います。
米中間はお互い総領事館の閉鎖まで行うようになっていて、戦争前夜の様相を呈していますが、株式市場は特段の反応を示していません。最悪の事態には至らないと考えているのか、それとも米国の一方的勝利に終わると予想しているのかもしれません。
南シナ海や東シナ海で緊張が高まっていて、米中とも軍事演習を行っていますから、まさに一触即発状態です。
米国は、南シナ海に空母打撃群を2艦隊送っていますから、これは戦争を前提にした布陣だと言えなくはありません。日本の自衛隊も参加しているようですから、日米の軍事力対中国の軍事力のにらみ合いだとも言えますが、軍事的には彼我の差は大きく、中国の勝利はなさそうです。
逆に、米国は中国軍の暴発を誘って一挙に叩くという考え方を持っているようにも思えます。米国内でも恐らく似たような見方だと思いますが、紛争地域が米本土から遠く離れた極東地域だという事と、米国の勝利は揺るがないという前提で株式市場は見ているのかも知れません。
更に言えば、中国を叩ければGDPが米国と日本へ移転するというプラス要因を見ているのかもしれません。
米国は対中紛争の原因は人権や自由民主主義の闘いと表現していますが、その裏には経済的損得勘定も当然働いていますから、米国が強く出るのは経済的利益を得られるという計算があると言えます。
一方、中国側は反発を続けたことで、引くに引けない状況になり、最早米国に全面降伏するか、体制が滅びるまで続けるかの二択になってしまったようです。
このように米中紛争をみると、NY株式市場が悲観的に陥る理由はありませんから、好調な水準を維持しているという見方も出来なくはありません。


Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.