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2020. 5.29.Up Dated.
REITのスプレッド

 REITはインカムゲイン(配当益)投資商品ですが、コロナショックによって利回りが大きく上昇しています。
インカムゲイン投資商品は、元本毀損リスク度を考慮して、国家が発行していることで元本毀損リスクゼロと考えても良い国債利回りに対して一定の利率(スプレッドと言います)を上乗せした形で利回りが決定されます。
この際基準となるのは、長期保有される投資商品であれば、長期国債利回りで一般には10年債利回りがベースになります。
この国債利回りは機関投資家が公開債券市場で日々行う取引によって決まりますから、客観性・透明性・信頼性があると考えられ、多くの投資商品の取引の基準ベースになっています。
REITの場合は、本来は日本の10年債利回りに準拠すべきところですが、日銀の買入によってマイナス金利になっているのと、取引主体が偏り過ぎているとのことで、ここ2年位は使われず、代わって米国10年債利回りがベースになっています。
米国債は世界中の機関投資家が参加して取引されていて、規模も世界一なので、特定の投資家に因る恣意的な動きも消されてしまいますから、客観合理性の高さではナンバーワンだと言えます。
そこでREITの全銘柄平均利回りと米国10年債との利回りからスプレッドを算出すると、今は4.5%/年程度になっています。

但し、銘柄別にみると投資家評価によってかなり格差が生じていて、下位ではジャンク債並のスプレッドに該当しているケースもあります。
このREITの状態を認識することは、REIT投資にとっては重要なポイントになります。
例えば、REITは利回り商品だからと言って高い利回りの銘柄を狙っていると、結局はジャンク債投資と同じになってしまい、客観的に見ればその程度の利回りでは魅力がないとも言う事にもなります。
REIT市場が好調な時は、全銘柄が最低でもシングルA格乃至トリプルBの社債のスプレッドに収まっていますから、こういう時はREITの全銘柄が投資適格商品だとも言えます。
一方、相場が下落し軟調になると、前述したようにジャンク債(トリプルC)並みのスプレッドを要求されてしまう銘柄も出て来ますから、インカムゲイン投資商品としての振れ幅が大き過ぎるとも言えます。
何故こんなに大きな変動になるのかを解説すると長くなってしまいますが、ざっくり言うと厚化粧部分が剥落しただけとも言えます。相場軟調時がスッピンで、好調時はこてこての厚化粧になっているとも言えます。
そしてこの厚化粧を施すのが、インカムゲイン投資商品として取引せずに、頻繁に売買して売却益を狙う投機的資金を動かす短期投資家なのです。
REIT市場にもこの短期資金が出たり入ったりを繰り返していますから、どのタイミングで利回りをチェックするかによって、投資適格から投資不適格へと振れてしまいます。
恐らくこれがREIT投資では最も難しい点で、相場の上下をある程度は捨象した視点で、銘柄評価をすることが大事だと言えると思います。


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