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2020. 4. 3.Up Dated.
REITの相場動向(その5)

私の分析では、今回のREIT相場の急落の原因は、
 1. 中国武漢で発生したウィルスが欧米に広がったこと
 2. 原油が大幅安になったこと
の2つが作用した結果だと考えていました。
1は、投資家の心理に影響を与えた情緒的要素が大きい(マクロ経済への影響度は不明の段階で生じた現象)ですが、2の要素は具体的な予測に基づいて行われ、結果としてグローバル投資マネーの大半を占めているオイルマネーと欧米金融機関の投資マネーが投資市場から換金化された為に起こった事だと考えています。
原油安の発端は、サウジアラビア(OPEC代表国)とロシアの減産協議が不調に終わったことで、逆に両国とも増産に転じ、原油価格が一時は約1バレル=$20まで急落しました。
国の収入の多くを原油の売買代金で賄っている中東産油国にとって、原油価格の急落は財政危機も招きませんから、当然危機に備えて手元流動性を厚くする動きに出ました。
また産油国の一つになった米国は、シェールオイルの損益分岐点が高く(約1バレル=$60)、今の原油安が続けば、シェールオイル会社の経営が破綻して資金調達に使っていたレバレッジドローンがデフォルトになり、これによって米国の金融市場がリーマンショック時のような混乱に陥ることが予想されていました。
このような見方に立てば、今は投資市場に注ぎ込んでいた資金を現金化して手元流動性を確保するというリーマンショック時と同じ動きになるのも当然だとも言えます。
従って、この状態が続けばリーマンショックのような世界の投資金融市場を大きく揺るがすような事態を招きます。
然しながら、直近のニュースではサウジアラビアとロシアが大幅減産に転じることに合意したとのことで、一旦はリーマンショックのような危機的状況は回避される見通しになりました。
勿論合意の背後には米国の仲介が功を奏しているようですが、これによって米国も自らの投資金融市場の破綻も避けることが出来ることになります。

こうなるとどうなるのでしょうか?
新型コロナウィルスの感染拡大は依然として続いていますが、原油安が引き金になって生じる投資金融市場の混乱が回避されれば、極端な動きはなくなりますから、投資市場も次第に落ち着きを取り戻すと考えられます。
このような見通しに立てば、今のREIT市場で買い場が続くのは大して長くはないかもしれません。
先週買いそびれたREIT投資家は、次週が最後のチャンスになるかもしれませんので、そのつもりでREIT市場の動向を見る必要がありそうです。


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