コラムトップ
2020. 3.13.Up Dated.
REITの相場動向(その2)

 REIT市場と株式市場がコロナウィルスによって激動状態になっています。特に3月に入ってから相場が大きく下がり始めていますので、これらの動きをみると次のようになっています。



上のグラフは2020年の動きを表していますが、期間を分解して両者の動きを追うと、

REIT指数と
各指標の相関度
REIT指数と
日経平均との相関度
REIT指数と
JGB10年債利回り
との相関度
REIT指数と
米国10年債利回り
との相関度
2020/1/6~2020/3/12 0.8715 0.4298 0.699
2020/2/3~2020/3/12 0.9593 0.5368 0.8965
2020/3/2~2020/3/12 0.8957 -0.5864 0.4078

日経平均株価との2020年の相関度は、高い順相関を示していますが、昨年までの通常の状態では両者の相関度は小さく、REIT指数は米国10年債利回りと逆相関で動いています。
そこで米国10年債利回りとの関係を見ると、2020年は順相関に転じていますから、これは従来の動きと異なっています。
更に3月は期間が短いものの、REIT指数と米国10年債利回りとの相関関係は消滅していて、日経平均の動きに連動するようになっています。
従って3月から顕著になったREIT相場の下落は日経平均下落によって引き起こされたと言えます。
換言すれば、株式市場が大きく下がったことに連動してREIT市場も調整されたという事になります。
日本の株式市場はNY株式市場の動きに連動していますから、換言すれば、米国の投資家はコロナウィルスの脅威を肌に感じたのが3月からで、これに慌てて脊髄反射的に売りを加速した結果だと言えます。
こういう時に頭脳ではなく脊髄で反応するのは良くあることですが、日本の株式市場が盲目的に追随するのもどうかと思います。
そしてREIT市場も連れてしまっています。これは2月のREIT市場の売買高が約2.9兆円と過去の平均売買高2.0兆円に対して約1兆円増えていることからも分かるように、短期筋の資金がREIT市場にも流れ込んでいましたから、これらの資金が一斉に売りに回ったことが相場下落の原因だと言えます。

「REIT相場の流れを冷静に見る」
先ずREIT投資家は、キャピタルゲイン狙いの短期筋の資金がREIT市場から離れていくのは、決して悪いことではないと見ておく必要があります。
元々REIT市場は短期筋の資金流入によって過熱状態になっていましたから、これらが引き上げられれば通常状態に戻ると考えられます。
勿論急激に資金が流出するので、一時的には大きな調整があるのは避けられませんが、何れは着地します。
私の見通しはREIT指数1,800ポイントが底と見ていますが、12日はこれより下がり1,783.50ポイントとの局面が現出しています。
但し、個別銘柄の投資口価格の動きを見ると、日本ビルファンド投資法人は依然として見做し額面価格比で3.0倍弱のままですから、どうみてもリーマンショックとは違います。
全ての相場に言えることですが、上が大きく崩れない限り相場の調整幅は合理的水準に留まると言えますから、REIT相場を悲観的に見る理由はありません。

「もう少し様子見をしよう」
REIT投資家は、短期筋の資金の流れが収まるまでは冷静に様子を見るのが良さそうです。
今の流れでは、直ちに反転上昇する勢いにはなり難いので、もう少し相場が落ち着くまで待つのが賢明です。
但し、ウェイティングだけでは買うタイミングも逸してしまいます。個別にどの水準で拾うべきかを現在分析中で、何れ発表する予定です。
大きく見れば、REIT投資家にとっては相場が脊髄反射的に調整された時は投資チャンスになりますが、インカムゲイン狙いのREIT投資ではおっとりしていても良いので、もう少し様子見をしながら、お待ちください。


Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.