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2020. 3. 6.Up Dated.
REITの相場動向



上のグラフは、2020年の東証REIT指数と日経平均の日次の動きを表しています。
東証REIT指数の今年のピークは2月20日の2,250.65ポイントでしたが、コロナウィルス問題の影響で週明けの25日から3日連続で下落し、月末の28日には2,017.50まで下がりました。
グラフを見れば、同じように日経平均が急落していますから、REITは株式市場の動きに連動して下がったことが分かります。
東証REIT指数と日経平均の関係は、2020年では相関度0.3143となっていますから、両者には相関関係はなかったのですが、2月25日から突然同じように急落しました。
REIT相場に最も大きな影響を与えている米国10年債利回りは、コロナウィルスの影響によって利回り低下は必至の状態でしたから(実際に3月3日にFRBが0.5%の利下げを発表した)、REITにとっては相場押し上げ要因なので、本来であれば影響相殺によって従前の相場が維持されると見方もあったはずです。
所が現実は株式市場の動きに追随して急落しました。これは理屈よりも気分が先行した為だと言えます。
日銀もREIT相場の急落を見て、2月26日・27日・28日の3日連続で各12億円ずつの買入を実施しましたが焼け石に水です。
元々日銀の買入は必要がなく、これで恩恵を受けるのは証券会社(自己取引)の短期取引だけですから、日銀は一部の投資家である証券会社の短期売買を意識して動いたことにもなります。

次に気になるのは今後の動向ですが、直近では2,000ポイント台は維持していますが、何れ2,000ポイントを切るのは確実だと考えられます。
コロナウィルス問題はREITの収益にも影響を与えますが、全ての投資法人に及ぶ訳ではなく、賃貸住宅・物流倉庫・オフィスビルには直接の影響がありません。
それでも気分風潮に引きずられて相場が下がるのは止められませんので、見方を変えると根拠希薄で投資口価格が下がればそれは投資チャンスと捉えることも出来ます。
但し、REIT知識の薄い投資家はこの時期の投資は控えるべきで、銘柄別の特徴や資産運用能力が把握出来ている投資家に限ります。
またセミナーテキスト配布等で解説したように、例え影響を受ける用途の不動産を保有している投資法人でも、内部留保を活用して分配金減少を抑えることが出来る銘柄も存在します。
これらの内部留保は元々合併によって得られた資本ですから、この機会に投資家に還元するのは合理的です。(活用しなければB/Sに計上されたままです)
このようにREITの銘柄を個別詳細に見て投資判断が出来る方には投資チャンスにもなりますから、もう暫く相場推移を見て、動くタイミングを見計らうのも賢い投資だと思います。

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