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2020. 1.24.Up Dated.
宿泊施設セクターの実力

 REITの宿泊施設セクターはインバウンド需要によって高いパフォーマンスを出せるようになっていますが、反面、インバウンド需要の比率が高い宿泊施設は収益が変動し易くなっています。
昨年から今年に掛けて韓国からの観光客の激減の影響が大きいですが、REITの収益への影響はこれからになります。
但し、今年はオリンピック特需があり、韓国観光客の減少の影響は2020年上半期だけですから、深刻ではありません。
また個々の宿泊施設によって影響度が異なり、インバウンド需要に偏り過ぎている宿泊施設程影響が大きくなりますが、一方で国内需要をベースにして各国のインバウンド需要を上積みしている宿泊施設の影響は小さくなります。
更に売上歩合賃料比率の大小によっても影響度が上下しますから、宿泊施設セクターは資産運用の違いによって収益変動率が異なるという事になります。
直近では中国の武漢で発生した新型肺炎ウィルスによる問題で、インバウンド需要一辺倒の宿泊施設は大きな影響が出そうです。新型ウィルスは簡単には終息しそうもなく、少なくともオリンピックまでは続くと考えられますので、今後は中国観光客の減少も織り込まなくてはありません。

こうなると宿泊施設セクター銘柄の中で、影響度の違いが鮮明になりますから、この機会に宿泊施設銘柄の実力を測ることが出来そうです。
固定賃料比率が高く(賃料収入の50%以上)、国内需要中心、且つインバウント需要の分散も図れている宿泊施設の影響度は小さくなりますから、2020年の決算によってそれらが浮き彫りになります。
具体的には星野リゾート・リート投資法人の影響度が最も小さそうですので、星野リゾート・リート投資法人の決算と比較することで宿泊施設銘柄の実力が分かると言えます。
星野リゾート・リート投資法人の次期決算(2019年10月~2020年4月期)は2020年6月発表予定ですので、この決算内容は注目です。韓国観光客の中国観光客の減少がどの程度収益に影響するのか、又は結果として影響が軽微で収まるのかに興味が湧きます。
この意味でも、星野リゾート・リート投資法人は保有宿泊施設毎のインバウンド需要の変化と収益に与える影響度のデータを開示して欲しいと思います。
インバウント需要は今後も変化しますから、これに対する耐性も知りたいですし、運用方針によってどの程度収益ボラテイリティを抑制できるのかにも興味があります。
今まで宿泊施設は右肩上がりで内部成長してきましたが、今回の問題によってREITとしての問題点も浮かび上がるのではないかと考えています。


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