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2019.11.29.Up Dated.
独立系金融アドバイザーについて

 2020年1月に独立系金融アドバイザーの業界団体として、ファイナンシャル・アドバイザー協会を設立するという報道がありました。
金融庁が個人の資産形成の手段として投資を薦めていますから、この方針の一助として中立の投資アドバイザーの育成が急務になっていましたので、今回の業界団体設立はこれに呼応した動きだと思われますが、その道のりは遠そうです。
理屈としては、中立の投資アドバイザーの存在が必要という事に誰も異論はないと思いますが、現実にそのような職種が成り立つのかが問題です。
今回の独立金融アドバイザーは、個人へのアドバイスをメインとして、金融商品の売買仲介をすることで収入を得ようとしているようで、収入源は売買仲介手数料のようです。
私は、投資商品の売買には関与せず、アドバイスだけで20年近く行ってきましたが、収入の事を考えると今回の金融アドバイザーの手法も仕方ないとも言えます。
私のように中立でREIT投資のアドバイザーを続けても、収入は大したことはありません。幸いにも子供も独立していて持家もあり、夫婦二人だけの生活なので生活できますが、子育て期間中であれば生計は成り立たなかったと思います。また私のような年齢になれば、色々な欲が薄れ、壮年期のような葛藤も少なくなりますから仕事に没頭できます。
アドバイザーズの最も重要な点は、常に知見を深め向上を目指すという姿勢を続けられるか否かだと思います。
REITは2銘柄で始まり、19年を経て63銘柄まで増えましたが、この程度の規模だからこそ続けられたとも言えます。それでもここ数年は毎日の仕事量が増えてしまい、まさに年365日働かざるを得ません。今年はGWに趣味に没頭してしまい10日程度仕事をさぼってしまった結果、仕事が遅れてしまい、それを取り戻すのに半年は必死で働かざるを得ませんでした。
REIT市場専門でも、これだけの仕事量がありますし、毎日手間の掛かる作業を繰り返さなくては知見が深まりませんから、収入と釣り合う仕事とは言えないと思います。
以前から個人向け独立アドバイザーの必要性は認識されていましたが、問題は生計手段として成り立つか否か、そしてどの程度の収入が期待出来るのかという事が明確でなかったことです。
仮に最高で2,000万円程度の年収が得られるのであれば、毎日大変な努力を惜しまない人も居るかもしれませんが、500万円ではサラリーマンをしていた方が楽ですから、独立系は存在しないだろうと思います。


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