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2019.11.15.Up Dated.
米国債利回りの上昇

 10月中旬から米国10年債利回りが上昇に転じ、直近では1.9%台まで戻りました。これを受けて東証REIT指数も下げに転じ、直近は2,100ポイント台になっています。
米国債利回りの上昇は債券が売られた結果のようですが、この背景には米中貿易摩擦の緩和期待があるとの見方が出ていますが、一方で年末に掛けての投資家の利益確定売りが強まったからとも言われています。
何れにしろこの様子では年内には米国10年債利回りが2%に達する可能性もありますから、東証REIT指数は2,000ポイントに戻る可能性も否定できません。
但し、このような動きはREITにとっては朗報とも言えます。
既にREIT相場は過熱状態になっていましたが、これが冷やし水になり、野放図な上昇を防ぐ形になりました。また東証発表の投資部門別売買動向をみると、10月のREIT市場の月間売買高は3.45兆円と前月比10.8%増となり、REIT史上最高の売買額を更新しましたが、11月のREIT市場の動きをみると、恐らく売買高は減少に転じていると思えます。
ではREIT市場はこれで調整局面に入るかと言えば、そう単純ではありません。
年内は直近のトレンドが続くかもしれませんが、年明け以降は再び上昇に転じるかも知れません。
その要因も明確ではなく、何が引き金になるかは予断を許しません。米中貿易摩擦も両首脳会談で完全決着はしないと考えられ、依然として不透明な状態が続きそうですから、この先投資市場や投資マネーがどのように動くかという予測は困難だと言えます。
それでも東証REIT指数の動きは急激ではなく、時間をかけて変化しますから、慌てる必要はありません。
投資家は、適切な相場観を以て、長期投資スタンスで冷静にみて判断すれば良いと言えますし、相場変動時に聞こえてくるノイズに迷わされないようするという事を心掛ける必要がありそうです。


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