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2019.10.18.Up Dated.
相場上昇局面の注意点

 東証REIT指数が2,200ポイント台まで上昇していますが、9月の投資部門別売買動向をみると、月間売買額は3兆円と過去最高の水準になっています。
9月の売買高増は外国法人の取引額増が大半を占めていますから、海外資金の動きによる相場上昇だと言えます。
ここで注意したいのは、外国法人は銘柄選別能力が低く、表面的な材料で取引を活発化させている点です。銘柄選別の情報は国内でも少ないので、海外では更に入手困難ですから、投資を行う際はスポンサーのブランド程度しか選別基準がありません。
元々外国法人のREIT投資はパッシブになっていて、国内投資家によって形成されている銘柄評価に添った投資態様でしたが、新規の外国法人の投資増によって、パッシブ型を外れる傾向が出ています。個々の銘柄の投資口価格動向を見ていると、この傾向が顕著になっていて、REIT草創期の未成熟な投資家の動きと同じになっています。
この動きを解析するには、全銘柄の投資口価格動向の分析が必要なので、2019/1/4~2019/9/30の日次投資口価格動向を見なくてはなりません。
この分析によると、相場上昇に伴って付和雷同的に投資口価格が上昇している銘柄と、トップ銘柄の投資口価格が天井まで上昇してしまった為に、その下のランクの銘柄に投資資金が流れ込んでいることが分かります。更に継続的な資金流入増と相場上昇によって、より低いランクの銘柄の投資口価格が大きく上昇していますから、換言すれば銘柄選別能力の低い外資によって水膨れ状態になってしまっている銘柄も増えています。
こうなると今の投資口価格水準は眉唾ものと見なくてはなりませんから、現在の相場でREIT投資を行うのは注意が必要です。
今の相場水準は上がりすぎて将来の再現性はかなり低くなってしまっていますから、長期投資スタンスではリスクが高過ぎます。
個人投資家もこのリスクが分かっているようで、9月の個人投資家取引高は前月比23%増になっていますが、売買差引では大幅売り越しになっていて、明らかに短期売買へシフトしていると言えます。
このような分析情報なくしてREIT投資を行うのは不適切な状態になっていますから、初心者は手を出さない方が良いですが、それでもインカムゲイン投資商品であるREITへの関心は高くなっています。
11月9日にREIT初級編セミナーを開催しますので、参考にして頂ければと思います。


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