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2019. 7.12.Up Dated.
REIT市場の診断

 7月11日に東証REIT指数が2,000ポイントを超えて2,008.31ポイントに達しました。
REIT市場の状態を見る指標としては一般的に東証REIT指数が使われますが、利回り商品であるREITを価格の値動きだけで見るのは必ずしも妥当ではありません。それでも公表されている他の指標がないのでどうしても東証REIT指数の動きで相場を見ることになります。
そこで今回は東証REITの水準によって相場の状態を診断する為に、次のグラフを使って説明します。



このグラフは、時価総額がREITの保有資産総額(取得価格ベース)の何割までになっているかを表しています。
水色部分はLTVから逆算したエクイティ分の資産価値(計算価値)を表しています。 即ち計算上のエクイティに帰属する資産価値が水色部分ですから、時価総額比率(時価総額/保有資産総額)が水色部分と同じか、又は超えているのが通常の状態です。
次に、東証REIT指数の推移をみると分かるように、東証REIT指数が上昇すれば時価総額が膨れますから、何処まで東証REIT指数が上昇し、時価総額が膨れたら危険水域となるのかを見ます。
グラフから見ると、危険水域の水準は80%超となるので、この範囲を赤色で表示しています。
つまり、時価総額が水色部分より上で、且つ赤色部分の下の範囲で動いている時が通常の状態だと見ることが出来ます。
グラフは月間単位なので、2019年6月末までの表示で数値は78.1%ですが、7月に入ると更に上昇し、5日は79.8%まで上がり、11日は80%超になってしまいました。
過去の動きを見ると、80%超に達すると戻っていますから、今回も調整が入ると考えるのが自然ですが、証券会社を中心にして更に相場を引き上げようとする動きが加わっていますから、このまま2,000ポイントを超えて上昇する可能性もあります。
2,000ポイントを超えて、時価総額が資産総額の100%になり、更には100%超になったのはファンドバブル期の2006年~2007年でしたが、上がり過ぎた反動もあってリーマンショック時の東証REIT指数は1,000ポイント以下に沈みました。
従って、過去の事例から見れば、ここでREIT相場が調整されれば、穏やかな相場推移になりますが、調整が遅れれば、その分反動が大きくなりますので、相場はチキンレースに入ると覚悟する必要があります。


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