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2019. 6.14.Up Dated.
4月・5月のREIT投資口取引動向

  東証が発表する投資部門別売買状況を毎月チェックしていると、4月・5月は少し様相が変わっているように見えます。
4月の売買動向では、外国法人が大幅売り越しになりましたが、売り越しの規模はリーマンショック時並みでしたが、逆に国内投資が買い越しに転じて外国法人の売りを支えた形になりました。
次に5月の外国法人はわずかな買い越しになり、国内投資家の買い越し幅も縮小していますが、投資家別の売買動向がこのように変化するのは過去にもありました。
外国のヘッジファンドの決算時期は6・12月が多いようで、投資家は決算時期の45日前までに解約を申し入れなくてはならないというルールがあります。
従って解約は4月と5月に集中する為、ヘッジファンドはこの時期は解約資金を用意するために売り越しを行う事があります。
勿論過去5年間遡っても毎年そのようになる訳ではなく、特にここ3年はこの時期にこれ程大きな動きはありませんでした。
仮にこのヘッジファンドの動きによって今年4月・5月の外国法人の売買が行われたとすれば、今年は海外投資家が慎重になって、早めに換金化を始めたとも言えます。
外国法人の売りがこのような理由による季節要因だとすれば、国内投資家も予め予想できますから、4月・5月は買い越しに転じる用意があったのかもしれません。
これらの動きを見ると、外国法人はこの先は楽観していないという事にもなりますが、一方の国内投資家はREITに関しては底固いと見ているのかもしれません。
但し6月以降の市場取引を見なくては何とも言えませんので、現時点での速断は禁物です。
外国法人の弱気が続くと仮定すると、鍵は国内投資家の動きになりますが、既に東証REIT指数は1,900ポイントを超えていますから、国内投資家もこれ以上のヒートアップは危険と考える可能性があります。
このような予想に立てば、今後は緩やかな相場調整に入るかもしれませんが、これからは海外投資家や国内投資家の投資心理に影響を与えそうな要因が目白押しですから、何とも言えません。
それだけ相場を動かす要因が増えたことになりますが、これからはこのような不透明な状況が続くと覚悟した方が良いのかもしれません。


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