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2019. 5.31.Up Dated.
米国の消費市場の広さ

  米中貿易摩擦が深刻化していますが、彼我の市場規模と質を比べるとかなりの差があるように思えます。
卑近な例ですが、日本から米国の商品を購入する方法はいくつもありますが、新品でなく中古品であればebayで探すのが一般的なようです。
最近私もebayで欲しい商品を探しましたが、やや特殊なPCパーツという事もあって、日本国内では中古の物が見当たりません。
目当てはグラフィック・デザイナーが使う、10bit出力(カラーの出力)のビデオカードなのですが、日本国内では販売数が少ないこともあって中古品は出回りません。
所が、米国内ではかなりの数の中古品があって、ebayに多く出品されていました。大半は米国内からの出品で、発送先も米国内限定になっていますので、国内で流通している状態だと分かります。
流通量が多いと、当然価格は下がるので、日本国内より遥かに安い価格になっています。
例えば、日本のアマゾンと米国アマゾンの価格を比較すると、表示価格は米国の方が安くなっているケースが多々あります。 換言すれば、市場規模の大小は価格を上下させるという事です。日本の市場規模も決して小さくはありませんが、やはり米国市場の広さと深さとはかなりの差があるのだと実感しました。
サプライチェーンという用語はありますが、デマンドチェーンという事は言われません。しかし今後はネット取引の更なる拡充によって、デマンドチェーンというのが形成されていくのかも知れません。
仮にそのような動きになると、中心はやはり米国になると考えられますが、それに参画する有力な市場は日本になりそうです。
正確にデータを取った訳ではないので感覚的な見方ですが、ebayの海外発送先では以前に比べて中国が減少しているように見えます。 勿論価格帯によって異なるでしょうが、数万円~10万円台の付加価値の高い商品では、 海外発送先のメインは欧州で、次いで日本という感じになっています。
個人が繋がるデマンドチェーンの構築は、もう少し先にはなるでしょうが、何れはかなりの大きな市場になるのは確実ですので、その時はサプライチェーンに大きな影響をもたらす存在になりそうです。
そうなると、中国は制度的に見てもデマンドチェーンでは劣後しますから、長期的に見れば経済分野での中国の存在感は小さくなっていくのでは推測されます。


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