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2019. 5.24.Up Dated.
スターアジアによる合併提案について(その2)

  スターアジア不動産投資法人とさくら総合リート投資法人に合併案件については、さくら総合リート側からの反発によって不透明になっています。
さくら総合リートの反論を読むと、先ずプロセスに問題があったという指摘があります。
従来の合併案件では、合併側と被合併側の資産運用会社の幹部同士が水面下で交渉を行い、合意に至った場合に合併が発表され、合意が出来なかった場合は何も発表されません。
従って、過去には合併交渉をしたが、合意に至らず投資家には何も知らされなかったケースもあります。

今回は、最初から公開で合併案件を進める形になりました。
その理由の一つにさくら総合リートの投資主構成が挙げられます。
さくら総合リートの投資主体別シェアの筆頭は国内個人で、保有比率は53.5%、人数は17,553人となっています。個人投資家は機関投資家と違って補足が難しい為にアプローチ手段が乏しい事情があったと思われます。 それに加えて、個人投資家を説得する有効な手段も方法もないのがネックだったと考えられます。
一方、金融機関と外国法人が過半を占めているスターアジア不動産(個人投資家比率は34.4%)も微妙な状態だと言えます。地銀等の機関投資家の保有比率は10%程度ではないかと推測されますから、仮に地銀等の国内金融機関を説得しても、投資主総会で過半数を取れるかは分かりません。
従って、スターアジア不動産の方も多数投資主の意向に沿った形ではなく、スポンサーであるスターアジアグループ(投資口保有比率は17.9%)との協議によって進められたと考えられます。
これから見ると、今回の合併案件はさくら総合リートの投資主の判断だけでなく、スターアジア不動産の投資主がどのように見ているかも不透明な状態なのです。
REITは投資家の為の仕組みですから、この案件は両社の投資主の判断と見方によって左右されますが、スターアジア不動産も自らの投資主を説得してから始めたとは思われず、スポンサーである一部投資家との結託で行動を起こしたと考えられます。
仮に、この合併案件が破談になって、スターアジア不動産の市場評価が下がれば、投資家からは資産運用会社の責任を問う声も挙がる可能性もありますから、仕掛けた方のスターアジア不動産も攻め一方では済まないだろうと考えられます。

以下は私の感想ですが、今回の合併案件は属人的な問題が大きいのでは考えています。
合併を仕掛けた表面上の人物は、スターアジア不動産の資産運用会社の幹部から転出した杉原亨氏になっています。この人物の印象としては、強引な手法を採るのもさもありなんとい思います。 私はこの人物を全く評価しませんので、彼が進める案件なのであれば支持はしません。
今後も個人投資家等を含めて聞かれることの多い案件だと思いますので、詳細な説明も準備していますが、私の意見としては、この合併案件は支持しないというのが現段階での結論です。


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