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2019. 4.19.Up Dated.
REIT相場の考察

 2019年のREIT相場の動向を見ると、年初からの騰落率は+6.0%となっていて、直近の東証REIT指数は1,880ポイント前後で推移しています。
1月4日~4月18日の東証REIT指数の動きを見ると、日経平均株価との相関度は0.7617となっていますから、REIT相場は株式市場と順相関で動いている事になります。
因みに、昨年の東証REIT指数と日経平均株価の相関度は、年間では0.1543ですから、REITの相場の動きは株式市場とは関係のない動きになっています。
但し、昨年同期比(1/4~4/18)の相関度は0.7075なので、時期的に見ると、この時期は株式市場の動きに連動しているとも言えます。
一方、1年間では相関度が消滅していますから、時期によって株式市場との関係が異なるのがREIT相場の動向だと言えなくはありません。

次に昨年の相場動向を見ると、5月~7月の3ヶ月間の東証REIT指数と日経平均株価の動きの相関度は0.4392まで下がっていますから、GW明けのREIT相場は今までの延長線ではない可能性もあります。
両者の商品特性から見ると、REIT相場と株価動向とは順相関ではなく、逆相関又は相関度なしになるのが通常のパターンですから、現在の動きはやや特殊だとも言えなくはありませんが、理屈はどうあれ日経平均株価との順相関関係はREIT相場の動向を分かり易くしている面もあります。
株式市場は、国際情勢やマクロ経済動向に敏感に反応していますから、令和になってからの動きは予断を許しません。
国際状勢を見ると、6月にG20が日本で開催されますが、ここでの日ロ首脳会談で平和条約締結と北方領土の返還のスケジュールが明らかになれば、株式市場にとっては好材料になります。
また既に日米の通商協議が始まっていますから、この行方も関係しそうですが、日本にはTPP11とEUとのとEPA(経済連携協定)があるので、交渉は日本有利に進む可能性がありますから、ここまでは日本の投資市場に有利に働きます。
仮に株式市場が盛り上がると、投資資金が株式市場に流れて、REIT市場への資金が減少することで、REIT相場は若干の相場調整が起こりますから、結果として昨年同期比のような0.5以下の相関度に下がっていくという予想も成り立ちます。
日米間の通商交渉には為替協議も含まれていますから、この行方によっては投資市場の動きも変わる可能性がありますから、単純な動きにはならないかも知れません。
この様にREIT相場が株式市場の動きに連動するようになると、分かり易い一方で、考慮すべき要素が増えボラティリティも高くなりますから、プラスマイナスの両面が生じると言えます。


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