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2019. 4.12.Up Dated.
REITと国際情勢

 REITは保有不動産の99%が国内不動産になっていますから、一般的に海外事情の影響度は小さいと言えます。
例えば、英国のブレクジット(EU離脱)が混迷を深めていますが、これにより日本の不動産価格や賃料が影響を受ける訳ではありません。米中貿易摩擦も同じで、国内不動産への直接的影響は認められません。
但し、長期的に見れば、オフィスビル賃料への影響は想定されますし、民間消費動向の減少があれば、商業施設賃料とそして物流倉庫賃料にも影響を与えます。
宿泊施設の高稼働率はインバウンド需要が支えていますから、国際関係は間接的な影響をもたらします。
このように考えると、REITの投資期間を5年程度とする投資家にとって国際情勢は無視できない要素だと言えます。
投資期間が長くなれば、考慮すべき要因が増えますし、不確定要素も大きくなるのは避けられませんが、市場としての影響度は株式市場に比べれば緩やかになりますから、投資家に対処する時間が生じるのがREIT投資のメリットだとも言えます。
換言すれば、REITへの影響度が遅れる事で、投資家に投資を見直す時間的余裕が生まれるという事になります。
用途的に見て最も影響が遅くなるのは賃貸住宅になりますから、将来の不確定要素に確実に備えるには、レジデンス銘柄の中から選別して投資するのが一つの方法になります。
私が定期的に開催している投資家向けセミナーでも、国際情勢の見通しが重要なテーマになっていますが、これは参加者には長期保有投資家が多数を占めているというデータがあるからです。
尤も国際状勢の影響は、負の面だけではなくプラス要素に働く可能性もあるので、必ずしも悲観的な見通しにはなりませんが、私は将来の好調な状態は余り説明の必要がないと考えています。(投資が上手く行く環境なら投資家にとって問題はないため)
投資家にとって気になるのは、市場がどの程度悪化するのかでしょうから、この側面にフォーカスするようにしています。
市場が上昇する予想も欲しいという人も居られるかも知れませんが、REIT市場は株式市場のように急激に上昇することはありませんし、投資口価格や分配金利回りの変動も小幅な投資商品ですから、市場動向を見ていれば分かりますので、天井の予測だけを説明するようにしています。
次回の投資家向けセミナーは6月になりますが、この頃には国際情勢がどうなっているのか、また参院選前の状況等考慮すべき内容が増えていますので、既に準備を始めています。


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