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2019. 2.23.Up Dated.
REIT投資口の流動性

 2019年のREITの市場での日々の出来高を見ると、18.5万口/日~39万口/日の間で動いていて、平均は27万口/日程度になっています。
この数値がどの程度なのかを知るために、株式市場の東証一部取引と比較すると、
時価総額比: 東証一部/REIT=約440倍
出来高:    東証一部/REIT=約4,500倍
になります。
時価総額に比べて出来高の格差は大きく、REIT市場は時価総額比の約10分の1の流動性しかないという事になります。
一般的には、時価総額で見る市場規模に出来高はある程度比例するはずですが、REITの流動性は株式市場に比べれば低いという事が分かります。
これは投資商品としての商品特性の違いだとも言え、株式は価格の動きによってキャピタルゲインを得る取引が中心で、一方のREITは保有して分配金を得るインカムゲインが中心になるので、売買高はその分REITが小さくなる為です。
また投資家数にも大きな差があって、数が最も多い個人投資家数で比較すると、株式市場の個人投資家数(延べ人数)の5,000万人超に比べて、REITの個人投資家数は70万人と圧倒的な差があります。
簡単に言うと、REITはインカムゲイン投資商品故に、投資口の市場流動性を表す出来高は時価総額比換算で10分の1の規模、投資家数は70分の1程度という事になります。
株式市場に比べると圧倒的に少ない投資家しかREIT市場には参入していない事が分かりますが、それはREIT投資のハードルの高さが原因だと考えられます。
東証もREITの個人投資家数を増やそうと何度かセミナーを開催していますが、1回か2回のセミナーの参加で、REIT投資が開始できる程簡単な投資商品ではありません。
個人投資家は自らのリスクに直結し、他人任せで損するのは癪に障りますから、何とか自分で行おうとしますが、実際にREIT投資を開始するにはいくつもの疑問点を解消し、比較データによって投資法人の選別を行わなくてはなりません。
これを懇切丁寧にガイドしてくれる主体と言うのは殆どありませんし、無料で得られる情報では頼りにはなりません。
これがREIT投資のハードルになりますが、一方でこれを乗り越えてきた個人は既得権のような状態になります。
現在のREIT市場は草創期に比べると熟成してきていて、大損するような確率は低くなっています。(他人任せだったり、証券会社のセールストークだけで投資した場合は別)
勿論大儲け出来る時代でもなくなりましたので、REITは確実なリターンを狙った投資になりますから、この投資態様に応じた情報と判断が必要だと言えます。
私は従来からある程度知識を集積した個人投資家を対象とした投資セミナーを行ってきましたが、この4月にREIT初級講座のセミナーを開催する予定です。
このセミナーでREIT投資を出来るよう、少しでも平易にそしてポイントを突いた解説をしようと考えています。


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