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2018.11.16.Up Dated.
タトゥー彫師無罪判決の話

 11月14日に、大阪高裁でタトゥー彫師へ対して医師免許を必要とせず、結果として無罪判決が出たという報道がありました。
この報道に興味が湧きネットで色々と調べたところ、2015年の起訴時点から取材を続けていたジャーナリストの解説があり、これで今までの経緯がある程度理解出来ました。
→参照先

私が子供の頃は、銭湯へ行けば一人や二人は入れ墨をしている人が居ましたが、その人達は必ずしもヤクザではなく、職人さん達でしたから、職業や人によっては入れ墨をしている人も居ることが分かりました。
当時は入れ墨をする彫師の人達も今よりは多かったと思いますが、当然ながら医師免許を持っているはずもありません。
それを突然大阪地検が、医師免許を持たずにタトゥーを施すのは違法行為だと起訴した訳です。
では医師が入れ墨を出来るのか、又は入れ墨を施している医師が居るのかという問題があります。
タトゥーをしたい人達にとって、既存の彫師を排除されてしまえば、国内では施せないことになってしまいますが、それでも問題がないと考えたのが大阪地検だと言えます。
有罪判決を出した一審の大阪地裁や大阪地検は、入れ墨は不道徳という先入観がある為だと思われますが、これには戦前に言われていた「身体髪膚これを父母に受く、敢えて毀傷せざるは孝の始めなり」という言葉が頭にこびりついているのかも知れません。
彫師は江戸時代からある職業のようですから、伝統的職業の一つです。
それを平成の検察官が否定しようとした訳ですが、専門的には罪刑法定主義の現代司法でも明文化されていない部分は自らの判断で有罪と出来るという神のような感覚に検察官が昇華している危険性があります。
幸いにも無報酬で戦ってくれた弁護団によって阻止されましたが、大阪地検は最高裁へ上告する可能性もあります。
多様性の確保は社会発展の基礎ですが、逆に特定の人達の思惑によって容易に規制が行われるのは独裁になりますから危険な臭いしますが、この経緯を見ていると隣国の韓国の司法のような面も感じます。
大阪地検は、森友問題でも捜査情報をリークして政局を無用な混乱に導いた前科もありますから、自ら社会を誘導しようと考えているかなり危ない組織ではないかという懸念もあります。
彫師問題は、話題そのものは大きなことではありませんが、検察の負の側面を表しているような気がするのが心配です。


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