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2018. 8.10.Up Dated.
REIT市場の見方は難しい

 REIT投資を考える人にとって最初のハードルは、上場銘柄間の比較ではないかと思います。
例えば、銘柄の投資口価格を見てもそれがどの程度高いのか低いのかは分かりませんし、 日本ビルファンド投資法人の投資口価格619,000円/口で、野村不動産マスターファンド投資法人が155,900円/口と表示されていても、どちらの価格が高いのかも分かりません。
この場合の比較方法としては、見做し額面価格比の倍率を見ることで理解出来ます。
日本ビルファンド投資法人の見做し額面価格は250,000円/口、野村不動産マスターファンド投資法人は100,000円/口で、倍率はそれぞれ247.6%、155.9%になりますから、日本ビルファンド投資法人の投資口価格の方がかなり高くなっていると言えます。
この見做し額面価格比で倍率を算定すれば、投資口価格のランキングが作れますが、この価格はどう調べれば良いか分からない人が多いと思います。
投資口価格で銘柄を見るのは株式投資と同じですが、REITは配当重視の投資商品なので利回りの方が重要だとも言えます。
利回り算定には、投資法人が発表している次期予想分配金が使われますが、これは必ずしも巡航水準の分配金ではなく、一時的に上下した分配金の場合もありますから、単純に利回り算定には使えないケースもあります。
本来利回り投資商品は国債や社債のように利回りが固定されていますが、REITは利回り商品でありながら、利回りは固定されておらず、決算の都度に分配金が変化しますので、それも加味して利回りを算定しなくてはなりません。
更に銘柄によっては利益超過分配金を出す所もあって、真水分配金を調べないと他の銘柄との比較も出来ません。

こう説明すると、REIT投資では銘柄選別は無理という結論になりがちですので、結局はREITを含んだ投資信託にするという選択になるのもやむを得ません。
REITは不動産投資信託ですから、REITを含んだ投資信託はファンド・オブ・ファンズになり、運用手数料は二重払いになってしまいますので、出来れば直接REIT投資をした方が良いのですが、前記のハードルが中々超えられないのが実態だと思います。
それでもREITに直接投資している個人投資家は延べ66万人居て、重複を除いても10万人近くには達すると思います。
勿論株式市場に比べれば圧倒的に少ないのですが、努力してハードルを越えれば、最低でも年間3.5%程度の配当が確実に得られます。
古くからREIT投資をしている人は配当利回り5.0%超で、価格の含み益が2倍近い人も居ますが、この人達は努力の成果だとも言えます。
逆に感覚だけを頼りにREIT投資を始めると、配当利回りは3.5%/年あっても価格の含み損が15%位になっていて、含み損解消には5年位の配当が必要になってしまいます。
即ち努力して成果を出せる人とそうでない人の格差が大きい投資商品がREITだとも言えますので、やる気のある人は、先ずはREITの勉強から始めてみては如何でしよう。


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