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2018. 6.15.Up Dated.
日銀の金融政策について

 EUが年内に金融緩和政策を解除する予定になったようで、これにより欧州の金融政策が平時に戻る方向に舵を切ります。
米国は既に金融緩和を解いていて年内に2回の利上げを予定していますから、ゼロ金利政策を続けている日銀の政策がどう変化するのかが注目ですが、今の所日銀は出口については言及していません。
日銀の金融政策は量的緩和とゼロ金利だけでなく、ETFの買入によって株式市場の相場コントロールも行っていますし、REITの買入も相変わらず続いていて、REIT相場にも介入しています。
日銀によれば、ETFとREITの買入は景気対策だと称していて、日銀が相場を維持している間に自律的に回復するのを期待しているとの事のようです。
確かに株式市場の株価が上昇トレンドになれば、投資家の利益が増加し民間消費を刺激するのは過去の動きからも予想が付きます。
このような状況は過去に何度か起こっていて、株高によって高級マンションや宝飾品、高級車の販売が活発化しました。
但し、即時決済される宝飾品や高級車は良いですが、マンションのように契約から引き渡しまで1年近い期間がある商品は、契約時には株高でも引き渡し時に相場が調整されてしまうと解約が相次ぎますから、日銀の金融政策の変更が気になります。

一方、REITのようなインカムゲイン投資商品を株式投資のようなキャピタルゲイン投資商品に誘導することが果たして妥当な景気対策かは大いに疑問です。
既に国債はインカムゲイン投資商品ではなくなっていて、REITだけが米国債利回りに準拠して一定の利回り(全銘柄平均で4.5%前後/年)を示していて、個人にとってもインカムゲインを得る重要な投資商品になっています。
その利回りをもっと低くする目的で日銀は介入していますから、インカムゲインを止めてキャピタルゲイン狙いになりなさいと言っているようなものです。
これで喜ぶのは証券会社だけで、REIT投資家にとっては迷惑な話ですが、日銀は投資家の為ではなく、証券会社の利益に資することが景気対策だと考えているようです。
仮に日銀が介入しなければ、一時的にしろ相場が調整されて、狙っている銘柄の利回りが高くなる局面が何度かあったはずです。
投資家は、その局面で積極的に拾って、自らの投資ポートフォリオ利回りの上昇を図ったはずです。
特に年金の補完収入としてREIT投資をしている個人にとっては大きな問題です。
REIT市場が正常に動いていれば、相対的にリスクの小さい優良銘柄を必要とする利回りで拾えたかもしれないのです。
それが日銀の介入によって、高い利回りを出すが、相対的にリスクが高く、問題含みの銘柄を拾わざるを得なくなっています。
既存投資家をそのような状態に押し込んで、日銀は何を狙っているのかですが、恐らくREITが分からないまま投資する人間を増やして、お祭り状態にすることだと考えられます。
このように考えると気分が悪くなりますが、品性と言うのは日銀には無くなっているようです。
邪推になりますが、ここまでするのは何かメリットがあるのかもしれませんから、そろそろ証券取引監視委員会も調査をしてはどうでしょうか。


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