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2018. 4.20.Up Dated.
妥当な相場水準とは

 東証REIT指数でREITの相場水準をみると、1,700ポイントが天井になっていて、達しては1,600ポイント台に戻るという動きを繰り返しています。
相場は投資家取引の結果によって決まる訳ですが、REIT市場の取引主体は、外国法人、証券会社(自己取引)、個人、金融機関、投資信託の5者がメインになっていて、それぞれが異なる取引をしています。
大まかに言えば、証券会社が相場上昇を狙った取引を展開し、外国法人がそれに同調したりしなかったりしています。
反対に、個人、金融機関、投資信託の国内投資家勢は、利回り商品であるREITの予想分配率が下がる相場上昇は回避したがっていますから、前2者の取引によって相場が上昇すると売りに回ります。
証券会社は相場上昇によるキャピタルゲイン狙いの投資ですから、出来れば恒常的に相場が上昇すれば投資利益と売買が活発化することによる手数料収入の最大化が図れます。
一方、REIT本来の投資スタンスであるインカムゲイン投資を行っている個人、金融機関、投資信託は、相場が下がれば(利回りは上昇)買い増し、相場上がる(利回りは低下)と売るという投資態様になっています。

インカムゲイン投資を行っている投資家にとっては、利回り商品としてのREITの妥当な水準というのが問題になりますが、これが現在は難しくなっています。
インカムゲイン投資商品は、国債利回りを基準として利回りが形成されますが、現在の国債利回りは日銀の介入によって相場が意図的にコントロールされ、自由な取引市場での相場を表していませんから、国債利回りをベースに出来ません。
そこで、通常の取引によって形成されている米国債利回りが意識されるようになっています。米国債10年物の利回りは2.8%台/年で推移していますが、長期的に見れば3%も視野に入りますから、利回りのベースとしては2.8~3.0%をカウントすることになります。
REITの利回りは、米国債利回りに一定のスプレッドを乗せて算定すると、スプレッド幅は1.5~2.5%だと考えられますから、理論的なREITの利回り水準は4.3%~5.5%の範囲になると考えられます。
この前提で現在のREIT相場をみると、
先週末(4/13)の全上場60銘柄平均利回りは、4.501%
同じく既存30銘柄の平均利回りは、4.195%
同じく新興30銘柄の平均利回りは、4.808%
となっています。
因みに、4/13の東証REIT指数は1,694.58ポイントですから、正に今の相場動向にピッタリの水準です。
全60銘柄の平均利回りは理論上の下限を僅かに上回っていますから、取り敢えずは良しとしますが、既存銘柄の利回りは下限を下回っていますから、ここは強気にはなれません。
この考え方では、東証REIT指数1,700ポイントは、REITにとって危険水域だとも言えますから、冒頭に書いた達しては戻るという動きも納得出来ます。
次に、問題になるのは、長期的にみたREITの相場水準ですが、これはやや複雑になります。
日銀の金融政策が何時変わるのかによっても長期の見通しが変化しますし、米国債利回りにも不安定要素が多いですから、予測が立ちにくいのです。
従って、REITの利回り水準を4.5~4.8%の間で動かしていれば何とかバランスを保つであろうと考えている節がありますから、これを東証REIT指数の水準に換算すると、1,640~1,700ポイントになります。
恐らくこの範囲の中で今後も相場が動いていくのではないかと考えられます。


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