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2018. 2.23.Up Dated.
REIT市場の不思議

 REITは2001年9月に日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人の2銘柄の上場から始まり、この時の両者の保有資産総額は約3,200億円で、市場の時価総額は約2,000億円でした。
それが17年経た今日では、上場銘柄数は約30倍の61銘柄、保有資産総額は46倍の14.8兆円、時価総額は60倍の11.8兆円にまで成長しました。
勿論途中で大きな浮沈を経験しましたが、単純に年換算すれば保有資産総額は27%/年の増加、時価総額は35%/年の増加となり、数字からは順調に成長を遂げてきた市場だと言えます。
一方、REITに関する重要な課題として、REIT創設時から中立のモニタリング機能が必要という指摘がありましたが、これについては、市場に丸投げする形で見切り発車しました。
今日でも、モニタリング機能は制度的には確立しておらず、市場の自主性に頼っています。
次に情報開示ですが、これは各投資法人がHPを通じて大量なデータを開示していますが、それらを横断的に比較するには専門的な加工が必要ですから、これも入手方法は限られています。
証券会社はREITを見る際にNAV倍率を重視していますが、元々NAV倍率はキャピタルゲイン投資用の指標です。 REITのように長期保有によるインカムゲイン投資では、投資口の価値よりも分配金の安定性やその原資になるNOIの考察が必要ですが、これも全銘柄のデータを詳細に分析しないと投資情報にはなりません。
このように、REITは制度的にも未整備のままで、更に投資情報インフラも貧弱でありながら、前述のような成長を遂げてきました。

現在REITの投資主になっている個人投資家は延べで約60万人、個人のエクイティ供出額(払込額)は7,200億円で全エクイティの約10%相当になっています。
そしてREIT市場で取引している個人は、売買シェアで外国法人・証券会社(自己取引)に次ぐ3位で14%を占めていて、昨年の月間平均売買額は1,800億円弱に達しています。
機関投資家でもREIT情報の入手は限られていますから、個人となれば尚更です。
それでもこれだけの資金がREIT市場へ入っていますから、客観的に見れば不思議な市場だとも言えます。
それは投資法人の長年の努力と言いたいかもしれませんが、課題と情報インフラの整備についてはREIT創設時から余り変わっていません。
それにも拘わらずこれだけの成長を果たしたのですから、何が原動力になったのかを改めて考察してみるのも面白いかもしれません。


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