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2018. 2. 2.Up Dated.
年明けのREIT市場

 昨年末(12月29日)の東証REIT指数が1,662.92ポイントでしたが、年明けから上昇を始め、1月24日には1,768.07と昨年末から105.15ポイント上昇し、そして1月31日は1,744.89になっています。
短期間にこれだけ上昇するのは珍しいですが、その原因が明確ではありません。
株式市場の好調に引っ張られたという見方もあるようですが、昨年一年間の動きを見ると、東証REIT指数の動きは日経平均株価とは逆相関に動いていましたから、1月になって突然順相関に転換したとは言い難いです。市場での投資家の取引態様を見ても、常に買い越すのは証券会社だけで、昨年12月は証券会社(自己取引)以外の主要投資家4者は全て売り越しになっていますから、突然投資態様が変わったとは思えません。
但し、外国法人は売り越しと買い越しに交互に繰り返していますから、1月は証券会社の買い越し幅が更に増えて、それに外国法人の買い越しが加わったという可能性もありますが、それだけではここまでの上昇の説明にはなりません。
勿論、金利動向も日本は別として欧米では上昇傾向になっていますから、これも上昇要因ではなく、逆にマイナス材料です。
1月の投資部門別売買動向を見ないと、何が変わったのかは分かりませんが、推測では今までとは異なる資金が流入したのではと考えています。
REIT市場への海外資金の流入は株式市場よりは少し遅れると予想していましたが、1月になってその流れが強くなったのではないかと思います。この資金は、日本REIT市場の理解力は弱いですから、従来の流れとは関係なくREITを買い始めたと推測されます。
個別の投資法人の投資口価格の動きを見ていると、単純な考え方で銘柄を選んで買っている傾向があり、資金の性格もキャピタルゲイン狙いの短期資金のようです。
2016年1月のマイナス金利実施の時もそうでしたが、突然多量の海外資金が流入し東証REIT指数が大きく上昇しましたが、その時の状況に近いかもしれません。
但し、私の勝手な憶測ですが、今回は資金の出所が異なっている可能性がありますので、もしそうであればもう暫くは流入が続くと考えられますが、この通りになればREIT 市場の従来の投資家は要注意です。悪く言えば、得体の知れない資金によって市場が混乱させられる可能性もありますから、従来の見方を踏襲して冷静に対応することで防衛する必要があるかもしれません。


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