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2018. 1.26.Up Dated.
投資法人の合併

 ケネディクス・レジデンシャル投資法人とジャパン・シニアリビング投資法人の合併が確定し、3月1日付で新たにケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人に名称変更され、投資口も2分割されます。
また積水ハウス・リート投資法人と積水ハウス・レジデンシャル投資法人の合併も発表され、5月1日付で(新)積水ハウス・リート投資法人となり、総合型REITへ衣替えします。
この2つの合併は、何れもスポンサーが同じで、スポンサー系列同士の合併になりますが、その背景には、REITの状況を楽観視していないという共通認識があると言えます。
スポンサーにとっても複数の投資法人の上場を維持するのは徐々に難しくなっているので、合併する事で効率を上げ、且つ市場評価も好転するとの読みだと思われます。
同じハウスビルダー系のスポンサーである大和ハウスが、昨年9月1日に同系列の投資法人の合併を行い高い市場評価を得ている事から、積水ハウス系の投資法人の合併観測もあって、決算説明会などでも質問されていましたので、合併が発表されても特に違和感はありません。

この合併で、(新)積水ハウス・リート投資法人の資産規模は4,000億円超になり、合併比率が1:0.825ですから、負のれんも生じる予定です。
積水ハウス・レジデンシャル投資法人の保有資産の取得価格は確定していませんが、合併によってポートフォリオNOI利回りも上昇し、分配金も増額される見通しですから、投資家にとって特に反対する理由はなさそうです。
REITの保有資産のポートフォリオとしては、オフィスビル+レジデンスという組み合わせは推奨パターンでしたので、今回の合併によって、保有資産の構成比は、オフィスビルとレジデンスで95%に達しますから、この投資法人の合併後の軌跡を追うことで、この組み合わせのメリット・デメリットが検証されると期待しています。

既にREIT業界の中では水面下で合併の話がいくつかありますが、スポンサー系列同士の合併と異なり、通常の合併は簡単には運びませんので、これらの合併がREITの合併の起爆剤になるとは考えられませんが、被合併側となりそうな候補の投資法人も多いですから、今年は合併交渉が加速するかもしれません。
一方、吸収する側の投資法人の方は大義名分がないと合併には慎重になりますから、話があっても中々決まらないというのが実態ですので、果たして今年は異なるスポンサー同士の合併があるか否かも注目になると言えます。


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