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2017.11.24.Up Dated.
2017年のREIT市場

 2017年のREIT市場をデータで見ていくと、かつての市場とは様相が異なっている点がいくつもあります。
このような変化は、2016年に日銀がマイナス金利政策を実施した後から始まっていましたが、最初はデータ分析では読み取れない程度でした。その後分析を重ねていくと、明らかに過去のデータとは異なっており、特に2017年後半からのREIT市場での取引に大きな変化が生じました。
REIT市場の動きは、誰かが何をしたからという単純な動きで決まるものではなく、異なる投資判断を持つ投資家がそれぞれの考え方に基づいて取引を行い、その合成結果によって相場が決まりますから、結果である東証REIT指数は最後の現象だけを見ている事になります。
かつてのように、REITそのものの理解が進んでいなかった市場では、どの投資家も似たような投資判断をしますから、現象としての東証REIT指数も投資家の判断を表しているとも言えました。
所が、投資家の理解度も高まり市場の熟成も進むと、投資家によって投資判断基準がバラけ始め、またポジションの違いによって投資態様も分かれ始めました。
REIT市場での最大シェアを持つ外国法人は、2016年2月のマイナス金利実施時のREIT投資で失敗し、その後は市場の趨勢を読みながらバッシプ取引に転換しましたので、取引シェアは高くても、市場を大きく左右する取引主体ではなくなっています。
シェアホルダーがパッシブ取引になったことで、明確な意図と判断基準を持った投資家が相場のキャステイングボートを握るようになりつつあり、それが直近のREIT相場の動向に反映されるようになりました。
REIT市場では、依然として日銀の買入が続いて、既に今年は860億円に達していますから、投資家別の動きを見るには、この買入金額の影響も消して、ネットの数字で見る必要がありますが、その結果も興味深いものになっています。
このようにREIT市場は、単純な見方では理解し難くなっていますが、元々投資は誰でも簡単に分かるもので成功する類の行為ではありませんから、当然なのかもしれません。
従って、自らのリスクで投資を行っている投資家は、貪欲にREITの理解を深めていく必要が、ますます高まっています。
一方、こうなるとREITは分からないという人も多いと思いますが、メディアやネットの情報取りだけでなく、それらを基に考察する能力が必要になりますから、理解出来ないままにREIT投資に参加するのは避けた方が無難です。
逆に、チャレンジしようとする人にとっては今のREIT市場は魅力的になっていとも言えますので、今が本来の投資市場に近いと言えるのかもしれません。


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