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2017. 9. 8.Up Dated.
REIT相場の行方と投資家の動向

 東証REIT指数が1,700ポイント台を回復するかにように見えましたが、最近は1,660ポイントまで下がったことで、相場の行方にやきもきしたり、又は買い相場が現実的になったと見る人も居られるようです。
冷静にみると、今の相場で鍵を握っているのは国内の個人投資家だと言えると思います。
REIT投資主構成比率をみると、個人投資家の単純構成比率は19.1%で、出資総額金額比(加重平均)で10%になります。
個人投資家は、構成比でみるとそれ程大きなポジションではありませんが、今の相場では個人がどの水準で拾い始めるかが相場の底になります。
またREITの予想分配金利回りが単純平均で4.5%/年を超えるようになっていますから、これだけの利回りが確保されるならば買い増しする個人も多くなりそうです。
一方、最大シェアの金融機関(信託銀行を含む)は今の情勢では積極的には動けなくなっていますし、外国法人は市場の流れに準じた投資態様になっていますから、自発的な投資を行うのは個人だけではないかと思われます。
東証REIT指数だけで相場動向を見ていると、時価総額の大きい日本ビルファンド投資法人やジャパンリアルエステイト投資法人等の大型銘柄の動きがメインになりますが、個人はこれらの大型銘柄の投資主構成比率は単純平均で5%以下になっており、しかも分配金利回りが低い為に買い増しの対象にはなり難いのです。
一方、分配金利回りが高くなっている新興小型銘柄は、軒並み個人の構成比率が40%を超えていますから、これらの銘柄はまさに個人投資家に生殺与奪を握られているとも言えます。
また分配金利回りが上昇している事で、従来であればターゲットにならなかった高評価銘柄への物色もありそうですから、今の相場は個人が主役になりつつあるとも言えます。

REITはアプローチの難しさから、個人投資家への対応を疎かにしてきたヒストリーがありますので、仮に個人投資家が主役又は準主役になったとしても有効な対策が採れません。
更に市場評価の高い上位銘柄は、個人投資家の構成比率は5%前後とマイナーシェアなので優先度が落ちますから、REIT全体でもこれらの大型高評価銘柄の消極的な動きに引きずられる傾向があります。
但し、個別に見ればそんなことを言っていられない銘柄も多いのですが、依然として横並び体質から脱却出来ていない銘柄も少なくはありません。
本来であれば、問題意識のある銘柄は、REIT業界の雰囲気や体質に埋没することなく、積極的に対策を講じる必要がありますので、そろそろ具体的に動かなくてはならないと思います。


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