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2017. 6.23.Up Dated. |
投資口価格と資産運用 |
最近のセミナーでは、上場投資法人の投資口価格を原初価格倍率(例;日本ビルファンド投資法人とジャパンリアルエステイト投資法人は50万円/2分割)で1位から58位までを並べた投資口価格ランキングデータで解説するのが恒例になっています。 これは投資法人の投資口価格は分割度の違いによって、相互に価格を比較することが出来なくなっているので、同じ基準で比較出来るようにする為です。 このデータを定期的に作成していて分かることは、ランキングはかなり固定化している事です。 特に上位銘柄(原初価格倍率200%超)と下位銘柄(原初価格倍率100%以下)群に属している銘柄のランキングは固定化傾向が強いという特徴があります。 従って、一度上位銘柄群に入ると暫くは安泰ということで、逆に下位銘柄群に入ってしまうと中々抜け出せないというのが現実です。 そして下位銘柄の特徴としては、REITの最大投資主である金融機関の保有比率がかなり低くなっていることが挙げられます。 換言すると、金融機関の支持が弱いとランキングが下がるという事になりますから、投資法人は金融機関のIRに注力せざるを得ませんが、何処の投資法人も金融機関向けのIRは行っていますから、IR活動だけで差別化はできません。 下位銘柄群にとってランキングの低さは投資法人の存続にも関わる死活問題ですから、何とか評価を上げたい所ですが、思うようには行かないのが現実です。 勿論、長期に亙ってしっかりとした資産運用を続ければ評価は上昇しますが、どういう資産運用が評価されるのかが分からなければ改善の方向も分かりません。 REITの最大の課題は投資法人の資産運用のマニュアルや参考書がないことで、資産運用会社は経験によってノウハウを蓄積するしかありません。何故ないのかと言うと、考慮すべき範囲が広すぎて、複数の分野に跨る横断知識が必要となり、参考書を執筆出来る人が殆どいないのです。 私は、REITの草創期に専門書を出版したものの、その後は改訂も行わず絶版になりましたので、最新版という要請もありますが、出版する為の原稿を書く時間がありませんので、今の所執筆予定はありません。 このように資産運用会社にとって、教科書や参考書がないという状態で自ら模索するしかないのがREITの実態ですが、一方の投資家にとっても同じような状況です。REITは合理的な見方が出来る投資商品というのが私の持論ですが、資産運用と鏡の反対になりますから、やはり投資判断に際して考慮すべき要素が多過ぎるという問題があります。 更に、REIT市場で日々動いている投資口価格は短期売買の結果によって動いていますから、長期保有投資では別の視点が必要となる等、より難しさが増します。 但し、難しい程チャレンジし甲斐があるとも言えますから、意欲と気力のある人には面白い投資商品ではないかと思います。 |
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