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2017. 6.16.Up Dated.
インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人の自己投資口取得

 6月12日に、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人が自己投資口の取得を発表しました。
内容は、資金上限8億円で市場から自己投資口を買い上げ、その後に消却することで発行済み投資口数を減らして1口当たりの分配金を上昇させることです。
予定では、取得する投資口は上限1万口で発行済み投資口数の1.23%に該当し、これによる分配金上昇額は29円/口と見積もっています。
インベスコの現在の予想分配金(平成29年10月期)は2,879円/口で、予想分配金利回りは 5.54%/年(6/16現在)ですから、29円加算されると5.60%に上昇します。
この数字をみると分配金利回り5.54%でもかなり高いリターンですから、それを更に上げる意味は何かということになります。

これを詳細に説明すると長くなるので簡素化すると、REIT市場で投資口価格の上下に直結する投資法人の評価には、分配金の絶対額が反映されているという事です。
換言すれば、分配金額が上昇すれば投資口価格も上昇するという事なので、現在の投資口価格(6/16現在103,900円/口)を引き上げたいという事になりますが、計算上では分配金増額による投資口価格上昇は3,800円程度になります。(実際に自己投資口発表後に3,000円上昇しています)
但し、最終目的は単に投資口価格を若干上昇させるという事ではなく、投資家の支持を得ることで、中長期的に投資法人の評価を上げていこうとことが主目的になります。
REITの自己投資口取得が解禁されたのは2013年ですが、今日まで実施された例はなく、インベスコがREIT初となります。 そこで資産運用での先進性をアピールして、主として機関投資家の支持を得ることで、現在の市場評価を上げていこうという戦略だと思います。

然しながら果たして思惑通りに支持が得られるのかが問題ですが、元々は過去の増資によって投資口の希薄化を起こしてしまったことをリカバリーする方法ですから、過去の失敗をどう説明するかもポイントになります。
REITの資産運用を十分に理解せずに、増資と外部成長を行ってしまった訳ですから、それを十分に理解・反省した上での施策という事なのかという点が気になります。
今後も同様の施策を採る投資法人が続く可能性がありますが、本当にREITの資産運用を理解した上での施策なのか、それとも本来投資家のお金である自己資金(B/S上の手元現預金)を安易に利用するだけなのかという事も気になります。
外資系の投資法人は、往々にして日本のREITの仕組や理念を十分に理解していない節がありますが、今回の自己投資口取得は、過去の反省に基づいて真摯にREITの資産運用に取り組む第一弾であって欲しいと思います。

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