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2017. 6. 2.Up Dated. |
REITの解散価値について |
投資家セミナーのテキスト作成や定期的な仕事が重なった為、2週間コラムを更新できませんでした。特にセミナーテキストの作成の負荷が大きく、17日及び22日に行うセミナーでは今までとは違う視点も取り入れようと色々なデータを使って分析をし、投資家の判断に資する内容をなるべく多く盛り込みたいと考えています。 REITの解散価値もその一つで、REITにとって投資法人の解散や清算は余り現実的ではありませんが、市場評価の低い投資法人を投資対象とする際には、押さえておきたい指標ではないかと思います。 投資主構成をみると、市場評価が低いことで結果として高い分配金利回りになっている銘柄の個人投資家の保有比率が高いという特徴があり、国内個人の保有比率が第1位となっている投資法人は11銘柄あります。中には60%近い保有比率になっている投資法人もあって、概して個人投資家は高い利回りが得られる銘柄の投資口を優先的に取得していると見られます。 REIT投資としては、このような投資手法も一つの選択肢ではありますが、リターンの裏側に潜むリスクも考慮しておく必要があると言えます。 そのリスクの一つが投資法人の解散価値比率です。 この算定は、時価総額÷保有資産の期末評価額×(1-LTV)で行っています。 REITの全銘柄平均では116%という数値になりますが、最高は産業ファンド投資法人の169%で、最低はジャパン・シニアリビング投資法人の68%ですから、かなりの格差になります。 前述したように、投資法人の解散の現実性は低いですから、市場評価の高い銘柄の時価総額が理論的解散価値の2倍近くに達したとしても、直ちにリスクとして捉える必要はないかもしれません。 一方、市場評価の低い銘柄は、概してこの比率が100%以下になっていますから、投資家は解散価値を意識して投資しているとも言えます。 従って、市場評価の低い銘柄(分配金利回りの高い銘柄)への投資の合理性を考えるポイントになります。 NISA投資の場合で考えれば、取り敢えず年6.0%超のリターンの確保も出来ますから魅力的だとも言えますが、果たしてこのような投資手法が成立するか否かの検証は必要です。 投資家セミナーは有料のためNISAの投資家が参加するか否かは分かりませんが、個人投資家のREIT投資の特徴である高分配金利回り銘柄への投資についても、従来に比べて深堀したいと考えています。 |
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