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2017. 3.31.Up Dated.
REIT銘柄の監視機能

 東証REIT指数の水準が8日前から1,700ポイント台に入っています。30日は1,779.01ポイントになりましたので、過去の動向から推測すると、これからGW前後に掛けて緩やかに調整されて、1,750ポイント前後の相場になりそうです。勿論多少の上下はありそうですが、特に材料がなければ、このまま調整が進行する可能性が高くなっています。
現在の相場水準だと、全上場銘柄の平均予想分配率は4.4%前後/年になりますから、かなり魅力的なリターンだと言えますが、銘柄による幅があって、2.94%~8.75%と上下の格差はかなり大きくなっています。また全銘柄の予想分配率の中央値は4.0%/年なので、4.0%前後の予想分配率になっている銘柄が多いという状態です。
因みに、米国の長期金利は直近で2.4%前後/年になっていますから、日本のREITの利回り(中央値)のスプレッドは1.6%になりますので、機関投資家にとっても、もう少し調整余地があるという見方も出来ます。
一方、個人投資家は5.0%/年程度のリターンを追求しているようなので、現在の相場だと16銘柄が該当しますが、もう少し調整が進行すれば20銘柄位に増えますから、個人投資家の選択幅が広くなります。
但し、予想分配率の高い銘柄は市場評価が低いという事になりますから、この点がやや心配です。
特に2015・2016年に上場した銘柄の多くが5.0%超の予想分配率になっていますから、個人投資家の買いはこれらの銘柄に偏っています。
投資ですから、投資家の考え方によって投資態様と判断が異なるのは当然ですが、個人投資家が不人気銘柄に偏っている現実には懸念を感じます。
不人気銘柄であっても、一所懸命真面目に資産運用を行っていれば良いのですが、中にはスポンサーの利益に偏ったり、パフォーマンスの低下にも無頓着な外部成長と増資を行う銘柄も存在します。これらの銘柄は機関投資家の不評を買いますから、結果として投資口価格が下がり、予想分配率が上昇しますが、それを個人投資家が拾うという構図になっています。
現在の金融緩和と低金利の状態では、直ちに問題が露呈することはありませんが、金融が正常化した時点では、不人気銘柄の借入利率は大幅に上昇しそうですから、そうなると途端に行き詰まる可能性もありますので、そろそろ不人気銘柄への監視機能を強める必要もありそうです。

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