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2017. 3.10.Up Dated.
REIT相場の方向

 今年は不確定要素が多く、相場の行方を予想するのが難しくなっています。
当面は米国の利上げが気になりますが、仮に米国が利上げを実施した場合はどうなるでしょうか。
日本のREITにとっては、外国法人の取引の変化が問題になります。
3月半ばにはFRBが利上げを実施するという見通しによって、既に米国10年債の利回りは2.6%超/年に上昇しています。
この利回りは日本ビルファンド投資法人やジャパンリアルエステイト投資法人の予想分配金利回りと近似になっていますから、外国法人の高価格帯銘柄のポジションは減ると予想されます。
一方、REIT全体の平均利回りは4.3%/年前後ありますから、直ちに影響はないかもしれませんが、FRBが3月に利上げを実施すれば、更に年内に2回の利上げの確率も高まりますから、REIT全体に下押し圧力が続きそうです。
米国長期金利がどの水準になるのかは不確定ですが、仮に3.2%/年程度だと想定すると、これに基づいた日本REITの平均利回りは4.5~4.7~5.0%/年の水準になると考えられます。
尤も必ずしも日本のREITが米国金利に連動する訳ではありませんが、REIT市場での最大の取引シェアを持つ外国法人の投資行動は無視できません。
それに国内投資家の金融機関と個人の目線は利回り重視なので、一定の利回り上昇は歓迎するでしょうから、外国法人の投資目線が前述のように米国利回りに準じていると明確になれば、追随する可能性があります。
そうなると相場の高値誘導を図っている証券会社では支えきれませんから、日銀にREIT買入枠の増枠を要請するか、又は以前のように相場の流れに準じた取引に戻るしかありません。
仮定の見通しにはなりますが、REIT相場が米国金利に左右されるようになると、東証REIT指数の水準は、単純計算で1,740~1,670~1,570ポイントになりますが、時価総額の加重平均が掛けられているので、実効値は1,600~1,750ポイント前後なのではないかと考えられます。
但し、東証REIT指数が1,600ポイント台の前半まで下がれば、国内個人の買いが強まりますから、1,600ポイントという数値は現実的には招来しないと考えられます。
このような見通しは、昨年の投資家セミナーでも解説していますが、果たしてこのような相場の動きになるのか今年は注視したいと考えています。

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