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2016.12. 9.Up Dated.
東証REIT指数の動きで見るREIT市場

 最近の東証REIT指数の動きを見ると、11月14日に1,715.86まで下がったものの、12月8日には再び1,800ポイント台に戻りました。
調整局面を迎えていたREIT相場が戻したのは株高の影響ですが、REITから見れば相変わらず根拠希薄の相場動向だと言えます。
相場動向の現象面だけを見ているとこのようになりますが、この相場を作っている取引を考えると、もう少し実態が見えてきます。
12月の取引動向は未発表なので推測になりますが、2016年のREIT市場の投資家別売買動向を見る限り、この相場上昇は証券会社(自己取引)と外国法人の取引によって生じたと考えられます。
従来証券会社の取引を月単位で見ると、買い越しと売り越しを繰り返す循環取引でしたが、2015年12月からは11ヶ月連続で買い越しを続けていて、明らかに相場上昇を演出しようとする取引になっています。
市場取引でのシェアホルダーである外国法人は、マイナス金利の発表によって2016年2~4月の3ヶ月間で大量買い越しをしてしまい、その処分に汲々としていて、積極的には動けませんが、相場調整局面では含み損が増えるので、少しでも相場を戻したいというのが本音でしょう。
証券会社がREIT相場を上昇させようとしている理由は、投資家としての判断ではなく、相場上昇局面を作る方が自らにとってメリットがあると考えての事だと思います。
それでも2015年12月~2016年10月までの買い越し合計額は2,020億円に達していて、相場が下がればかなりの含み損を抱えてしまいますから、普通に考えればこんな強気な取引は出来ません。
これを可能としているのは、日銀のREIT買入だと考えられます。
日銀はREITを年間900億円買うことになっていますから、証券会社は買い越し分の約半分が日銀を出口と出来ます。それでもこのまま買い越しを続ければ自己ポジションが積み上がっていきますから、そろそろ日銀のREIT買入枠の増枠が欲しい所です。
本来であれば、今夏のETFの買入枠増枠の時に、REITの買入額も増やして欲しかったのだと思いますが、REITの買入枠増枠は見送られましたので、何処かのタイミングで日銀がREITの買入枠を増やしてくれるという期待があるのではと思います。
日銀も「魚心あれば水心」で、証券会社の為にREIT買入枠の増枠を検討しているのではないかと思います。
今の日銀は節操がありませんから、証券会社の為(表向きは景気対策になります)に動くことも十分に考えられますし、市場機能を歪める行為も辞さないというスタンスですから 十分にあり得る展開ではないかと思います。

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