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2016.11.25.Up Dated. |
政治の季節 |
今年は英国のEU離脱や米国大統領選挙の結果等、驚きに満ちた政治イベントが続きました。 この流れは欧州にも飛び火しそうですから、政治的な混沌は拡大するかもしれません。 既にトランプ氏はTPPからの離脱を表明しましたが、それまでの6年間にも及ぶ交渉経緯を無駄にしますから、TPP参加国のアジア・オセアニア・中南米諸国の不信を助長すると思います。 特に嫌米主義から融和路線に傾いていた中南米諸国は、再び右翼勢力が台頭するでしょうから、政情不安定に陥る可能性もあります。 アジアも米国の求心力が弱まったことで、新たな軸を探さざるを得ませんが、中国も日本も未だそこまでの力がないと言えます。 このように従来のバランスが崩れるのはどの地域も必至ですから、リバランスまでの過程で混迷が起こります。 一方、政治の状況とは別に、米国の投資市場はトランプ相場を作って上昇していますが、これは信用出来ません。 政治の流動性が増幅する中で、経済が活発化するという考え方は、戦争経済や重商主義しかありませんから、根拠の無い市場の活発化だと言えます。 尤も、このことは米国の投資市場関係者も分かっていると思いますので、逆にじり貧になるのを防ぐには一挙に相場を上昇させるしかないと考えての事かもしれません。 何れにしろ今後は政治分野での変動が相次ぐと思いますし、それによる経済状況の変化は必至ですが、それを予測することはかなり困難です。 国際政治を読み解くことは超難解のパズルと同じで、人智を超えているとも言えますので、結局は自国のポリシーを明確にして軸がブレないようにするしかありませんが、これは投資の考え方にも通じます。 日本は、政治的には最も安定した国の一つですが、ポリシーが明確でない傾向がありましたので、今後は日本の立ち位置を明確にして外交に臨むしかありませんが、トランプ氏の大統領就任によって否応なくなります。 安倍首相もその辺のことは分かっていそうですが、問題はポリシーの確立です。 イデオロギーが弱まった今日では、ポリシーを形成する理論的根拠がありませんから、独自に根本から考えて組み立てなくてはなりませんが、果たしてそこまでの叡智が今の政権にあるのか定かではありませんし、野党も従来の力量では圧倒的に不足です。 その意味では日本も混迷を迎えますので、この難局を乗り切る人材を輩出出来るか否かが鍵になりそうです。 |
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