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2016.10.21.Up Dated.
海外から見た日本の不動産情報の現状

 先日、海外から日本の不動産取引情報を知りたいとの問い合わせがありました。
恐らく既にネットで検索したと思いますが、不動産取引情報の詳細は公表されていませんから、海外から見れば日本の不動産市場の状況を知ることは無理だと言えます。勿論日本の不動産業者に聞けば概略は分かりますが、データはありませんから、基礎的な理解しか出来ません。
これでは、ビジネスとして日本の不動産に関わることは難しいと言えます。
それでも、日本の不動産に注目している外国人は多いと思いますので、自前でデータを収集して蓄積するか、不動産取引経験を積み重ねて理解するしかありませんが、かなりの時間と労力を要しますので現実的には不確かな状態で日本の不動産を扱うしかありません。
他にも、ビジネスとして不動産に手を出すなら、先ずマクロの視点で不動産と不動産市場を理解し、更に信頼性のあるデータを見ながら現状把握するというステップが必要になります。
国内でもこのようなプロセスを踏んで不動産取引を行っている主体は少ないと思いますが、それでも不動産ビジネスを展開しているのが、日本の実情だと言えます。
これらは国内では当たり前の現実ですが、海外から見ると先進国である日本がこのようなインフラしか持たないという事が理解できないかも知れません。
更に、日本に問い合わせをしても、不動産分野でデータに基づくエキスパートアドバイザーは見つかりませんから困るだろうと思います。
それならば、国内で人材を育成すればという話も出そうですが、これは簡単ではありません。ビジネスとして他人にアドバイス出来るようなレベルになるのは大変ですし、データ収集と分析もかなりの労力を要します。そして仮に一定のレベルに達したとしても不動産ビジネスアドバイザーとして成立する可能性は小さいです。相当な時間と労力、経験を積み重ねても、それでビジネスにならなければトライする人は居ませんから、現実は前述のような状態に留まっています。
かつてはこれらをブレークスルーしようという試みはありましたが、何れも日の目を見ずに、いつしか立ち消えになりました。
今では再びブレークスルーしようという機運はありませんから、このような状態が将来も続くだろうと思いますし、それでも不動産プレイヤーが活動出来ていられるのが日本の不動産市場なのだろうと思います。

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