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2016. 6. 3.Up Dated.
野村不動産マスターファンド投資法人とトップリート投資法人の合併

 野村不動産マスターファンド投資法人が9月1日付でトップリート投資法人を吸収合併する旨の発表がされました。
野村不動産マスターファンドは、昨年10月に同じスポンサー系列の野村不動産オフィスファンド投資法人と野村不動産レジデンシャル投資法人を吸収合併したばかりで、早くも第2弾の合併を行います。
REIT市場が比較的好調な時期に、4月には大和ハウス系の2つの投資法人の合併も発表されたので、かつてのREIT市場の不調な時の合併と比較すると、何故という感を抱く人もおられると思います。
今回の合併は、トップリートのスポンサーの旧新日鉄都市開発の離脱により物件取得のパイプラインが細った事も一つの理由ですが、最大の要因は、REIT市場が東証REIT指数1,900ポイントを超えた状態でも、投資口価格が上昇せず、増資もままならない状態にあったことだと言えます。
これだけ好調な市場でも、投資口価格は50万円以下で推移していて、投資口簿価(517,859円/口)を超えませんから、それだけ市場評価が低いと言えます。
このままでは物件取得も思うように出来ず、増資も困難という状態が長く続きますから、投資法人としての存続の危機だと言えますので、打開のために合併を選択したという事だと思います。
合併比率は、野村不動産マスターファンド:トップリート=1:2.62となっています。
投資口簿価比で1:11.9、原初価格比で1:5ですから、トップリートの投資家にとっては厳しい条件ですが、トップリートの現状を考えればやむを得ないのかもしれません。
吸収する野村不動産マスターファンドにとっては、正ののれん代23,460百万円を得るのがメリットとなりますが、そもそも前回の野村不動産オフィスファンドと野村不動産レジデンシャルも同じですが、何れも市場評価が芳しくない投資法人を合併して保有資産を譲受しました。
投資法人の市場評価は、先ず保有物件の質が反映されますが、この質とは、保有する不動産の質と収益のバランスなので、このバランスが悪いと思われている為です。
リーマンショック後の合併は、負のれんによる合併になり、譲受資産の価格が簿価以下になりましたので、収益利回りが回復しますからバランスは改善しましたが、昨今の合併では、合併によって譲受資産の欠点は改善されません。
従って、悪く言うと野村不動産マスターファンドは保有物件の質が劣る資産をかき集めて水膨れした投資法人という側面もあります。
但し、のれん代の償却によってこの欠点が分配金には直接影響しませんから、表面上はカバーされます。
即ち目先の分配金と投資法人の根本的体質の何れが市場評価に影響するのかを見極める機会にもなりますから、野村不動産マスターファンドの今後は色々な意味で注目なのかもしれません。

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