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2016. 5.27.Up Dated.
直近の東証REIT指数と取引動向

 東証REIT指数の動向を見ていると、やはり1,900ポイントを天井とした動きなっているようですが、投資口の取引市場では、証券会社と外国法人が買い越し、金融機関・投資信託・国内個人が売り越すという構図が2月から変わっていません。
それでも徐々に外国法人の買越し勢いは低下していますから、6月は潮目が変わるかもしれません。
今回のREIT相場の上昇は、日銀のマイナス金利によって引き起こされましたが、単純にマイナス金利になっている長期国債利回りをベースにしてREITの期待利回りを計算すると、東証REIT指数は2,400ポイント台になってもおかしくないという事になります。
これがREIT相場の強気論の根拠だと思われますが、元々長期国債利回りへ上乗せするスプレッドはここ半年で拡大していて、既に従来のスプレッドの上限であった3.0%を大幅に超えています。
長期国債利回りとREITの予想分配金利回りを見ていると、長期国債利回りが下がってもスプレッドが拡大してREITの利回りは変化しない時もあり、逆に長期国債利回りが上昇すると、スプレッドが縮小するという調整機能が働いている面もあります。
従って単純に長期国債利回りの推移通りにREIT相場が動いている訳でもありませんから、今回の証券会社と外国法人の思惑は先走り過ぎたのかもしれません。
データ分析では投資態様が掴めなかった外国法人の取引ですが、今回の買越しによって少し実態が分かるかもしれません。
買い越した分をどう処理するのか注目になりますが、自らの投資態様の変化は相場の変動を誘発しますから、買越しを止めれば相場が下がって含み損を抱えます。
そうなるとどうやって上手く売り抜けるのかに興味が湧きますが、国内勢が買い支えない限り、売却損の発生は不可避ですから、仕方なくホールドを続けるかもしれません。
但し、一旦相場が下がると東証REIT指数が1,900ポイントまで戻るのは2~3年は先になりますから、そこまで我慢するのでしょうか。
それとも今の相場水準を何とか維持するように買越しを続けて、国内勢が買越しに転じるのを待つのかもしれませんが、どちらの方法も危ういので、外国法人の投資の実力が見えてくるのではないかと期待しています。

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