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2016. 5.20.Up Dated.
4月の投資口取引動向

 東証から4月のREITの売買動向が発表されました。
今年2月から外国法人と証券会社自己取引での大幅買越しが続いていて、それが相場の上昇のエンジンになっていますが、4月もその傾向は変わっていません。
因みに、外国法人のREIT市場での買越し額は今年2月との金額比較では、3月は71%、4月は53%まで減少してきますから、次第に勢いは鈍ってきています。
それでも、過去1年間と比べると取引金額が多くなっていますから、海外マネーの流入が増えていると言えます。
外国法人の投資が増えている背景には、EUと日本のマイナス金利によって、投資先が米国一極集中に偏りすぎるために、分散対象として一定の利回りが得られる日本のREITへの注目が高まっている為だと考えられます。
従って、今回の投資マネーの種類は、所謂コア投資(長期投資で利回り重視の投資資金)ではないかと推測すれば、従来の資金に比べると市場の安定度に寄与する可能性があります。
一方で、4月の外国法人の取引金額は縮小していて約9,000億円と巡航ペースの取引金額に近づいていますから、通常の取引態様に戻るのも時間の問題です。
こうなると、過去の取引から見ると、一旦中立に戻り、そこから売越しに転じるというのも過去のパターンですから、そろそろ潮目が変わるかもしれません。
尤も、国内個人は相場上昇局面では売越しを加速していますし、4月は取引金額も減少していますから、既に危険を感じているのかもしれません。
REIT市場で取引している国内個人は、概してREITに対する知識があるようで、相場上昇に誘われて新規に参入する人達は少ないようですから、今の局面も一過性と見ているのではないかと思います。
従って、外国法人が売越しに転じた場合、買い支える投資家は見当たりませんから、最後の頼みは日銀によるREIT買入になりますが、外国法人が売り越す金額は500億円程度に達する可能性がありますから、日銀の買入枠(年間900億円)では足りません。
それでも参院選前にREIT市場が大幅に調整されるのを防ぐために、月間買入額を150億円程度に増やすかもしれません。(従来の月間買入額は最大で100億円程度)
こうなると相場は急変しませんから目立った動きにはなりませんが、日銀の買入は枠の関係から長続きはしませんから、結局は巡航水準を求めての調整が行われると見る必要がありそうです。

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