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2015.11.27.Up Dated.
REIT市場の2015年上期と下期の違い

 REIT市場の動きを2015年上期と下期を比べるとかなりの違いが生じています。
例えば、REITの予想分配金利回りと10年物国債利回りとのスプレッド(乖離率)を見ると、 2015年1~6月は月間平均で2.73%/年~2.88%/年で、6ヶ月平均は2.82%/年になります。
この値はREITのスプレッドとしては市場の好調を表す水準ですが、バブル状態ではないと言えます。
一方、下期(7月~10月)は3.11%/年~3.54%/年で、4ヶ月平均は3.35%/年になります。
即ち上期と下期では平均で0.53%もの違いがあり、下期は約19%上昇しています。
スプレッドは投資リスク度をカウントしていると考えられますが、短期間にこれだけ上昇するのは、何かリスク算定を変えなくてはならない状態になったとも考えられます。
それでは下期にREITに何か別の動きがあったかというと、特に該当するようなイベントも事象もありません。
そうなると投資家の判断に修正が生じたという結論になりますが、この見方はどうでしょうか。
REIT側の動きが原因ではなく、投資家がREIT投資の判断を修正しているという説明は納得できるでしょうか。
例えば、上期はREIT投資を甘く見ていたので、下期で本来の見方に修正しているという説明も可能ですが、REIT市場の取引は、外国法人・国内個人・証券会社・金融機関・投資信託の5者の売買で95%前後を占めていますので、この5者が同じような見方をしているのか、それとも投資家によって差があるものの、取引の結果としてスプレッドが上昇した状態になったのかです。
これを詳細に分析するのにはもっと多くのデータが必要ですが、現象的にしろ2015年上期と下期ではREIT市場の様相が変化していますから、この事は理解しておく必要がありそうです。
一部では、再び東証REIT指数2,000ポイントに向けて上昇するというイケイケ的な見通しもありますが、様相が変化しているのに、単純に上期の状態に戻るという見方は甘過ぎるとも言えます。
投資市場では2016年の予測に関心が移りつつありますが、分析も行わず単に占いのような予測もありますので、投資家は慎重に見極める必要があります。
将来は誰にも分かりませんが、予測するのであれば合理的根拠に基づく必要があります。合理的な考察による予測であれば、例え実態と異なった場合でも原因の究明も可能ですから、予測とは一定の合理的根拠を持った考察によるものなのです。まして、REITのような投資商品では、特に必要な視点だと言えます。

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