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2015. 4.10.Up Dated.
バブル期の違い

 株式市場では本日日経平均が一時2万円台を付けましたが、これは2000年のITバブル以来15年振りだそうです。そうなると今の時代は後に何と呼ばれるのでしょうか。「アベノミクスバブル」と呼ばれることになるのでしょうか。
私は今までに何度かバブルを経験しましたが、中でも1989年の不動産バブルはその最たるものでした。この時以外にも何度かバブルがありましたが、不動産バブル以前は行政側がバブル抑止に懸命になっていました。 特に不動産には厳しい対応がなされ、不動産融資の総量規制のように違法ではないかと言われるレベルの施策まで登場しました。
又、中央政府が生温いと地方公共団体がより厳しい対応を採ったりして、その渦中で仕事をしていると苦労しましたが、私自身バブルには懐疑的だったので、行政側と対立することは少なかったと思います。
そして不動産バブルが起こりましたが、これはどう考えても異常で普通の人が常軌を逸した考え方や行動を取りました。その後は、ITバブルやファンドバブルのようなミニバブルが起こりましたが、過去の経験からその反作用を考えるようになりました。
尤も、バブルというのは甘い誘惑で、不動産バブル崩壊後も立て直しの為にミニバブル待望論があり、当時設立された「東急リバブル」の社員が自嘲的に話していたのが面白かったです。
一方、今回はどうなのでしょう。将来バブルと呼ばれるのかも知れませんが、過去と違うのは行政側が後押ししている事です。抑止に必死だった政治・行政が今度は火付け役に回っている感がありますが、これは時代の違いなのでしょうか。
私はそうは思いません。人の違いだと思います。良きに付け悪しきに付け、大勢に付くというのを潔しとしない個性を持つ人材がエリート層に存在しましたが、不動産バブルの崩壊によって、その様な個性は次第に駆逐されて中庸な人材が残りました。
そして、状勢が中々好転しない為に、バブルに手を染め始めましたが、批判的な勢力は弱まりましたから、かつてとは様相が違います。
確かにバブルはカンフル効果がありますが、それに頼るのは人の弱さです。
苦しくても何とか努力と工夫を重ねて乗り越えていくのが、日本の美徳だと考えていますので、それを若い世代に教えて行くのが私達の努めだと思います。
安倍首相は私達世代の後に続く世代ですが、この世代の特徴を良く表している人材ですので、個性淘汰の時代を傍観者として見ていた経験がベースになっていのかも知れません。

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