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2014.11.14.Up Dated.
トーセイ・リート投資法人の上場

 11月27日上場予定のトーセイ・リート投資法人のIPOの仮条件が、100,000円〜 103,000円/口と発表されました。 私の予想では80,000円〜85,000円/口の間位でしたので、大幅に外れました。
この投資法人はかつて2007年に設立され上場を目論んだものの、内容的に芳しくなく上場断念になった経緯があります。その後、投資法人は解散し立ち消えになったと思っていましたが、REIT市場の好調さを背景に再び上場にトライしました。
目論見書を読むと、相変わらずREITとは呼べない程度の質の保有資産にも拘わらず、100,000円/口以上のIPO価格とは驚きです。
これには、調達予定額が約86億円と小振りになっている事も関係していて、仮にこの倍の調達額であったなら、又上場断念になっていたかも知れません。
トーセイ・リート投資法人のREITとしての位置は、インベスコ・オフィス・ジェイリート投資法人やSIA不動産投資法人より下になると言えますから、最低ランクになります。
尤も、REIT投資に慣れている投資家であれば、この程度の判断力は持っていると考えられますが、気になるのはNISAの投資家です。
引受証券会社が今年のNISA枠の消化を薦めつつ、トーセイ・リート投資法人のIPOを積極的にセールスするのではないかと懸念しています。REIT投資に慣れていない個人投資家に「IPOはお得ですよ」と言った甘言で勧誘するのではないかと心配しています。
トーセイ・リート投資法人は、仮に首尾よく上場したとしても、REITとして回転する可能性が低く、何れ存続が難しくなる投資法人の最右翼です。そのような投資法人の投資口を長期保有させるようなセールスをして、その後で「投資は自己責任ですから」と素知らぬ顔をされたのでは堪りません。
今回のIPOが機関投資家や金融機関を相手に行われるならば、余計な心配はしませんが、彼らが応じずその分を個人に売りさばくような事になると、前述のような事態もあり得ます。くれぐれも注意しますが、NISAの投資家は、仮に今年のNISA枠が消滅したとしても、REIT投資が分からない状態でIPOに応じるよりはましですから、セールスには気を付けて下さい。

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