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2014.10. 3.Up Dated.
年内は材料不足か?

 2012年秋から始まったREIT市場の回復を支え、それを増進したのは新規上場銘柄であると言えます。
2008年〜2011年までは新規上場銘柄がなかったものの、2012年から今日まで13銘柄の新規上場があり、その平均IPO額は656億円で、2001年から2007年までの平均IPO額(453億円)を45%上回っています。
IPOの価格はそれ程変わっていませんから、大型規模の投資法人が多かったことを裏付けています。個々の投資法人の内容は別にして、比較的大きな資産規模で上場したことで、上場後の安定性も増したことも原因だと考えられます。
一方、既存銘柄は投資口価格の上昇によって、PO環境が整い、グローバル・ワン不動産投資法人とMIDリート投資法人を除いた31銘柄が増資を果たしました。

このように新規上場銘柄がリードし、それに既存銘柄が乗った事が今日のREIT市場の局面を作っていましたが、これもそろそろ下火になると予想されます。
今秋以降の上場は、先日発表された日本ヘルスケア投資法人がありますが、その資産規模は約133億円と小振りですから、インパクトは小さく、市場を刺激する力は相対的に低下します。
他にも、年内の上場はあるかも知れませんが、多くても後1〜2銘柄でしょうから、2013年程のIPO規模にはなりそうもありません。(IPO調達額での比較)
従って、年内はこれと言った材料のないままでの展開になりますので、投資口価格の振幅はかなりあると考えられます。
一方、REITの投資口価格水準の落着点を探る動きは、年末から年明け以降になると予想されますので、年内の展開を読むのは難しくなります。
更に、現在のREIT市場の相場を演出しているのは個人投資家がメインになっていますから、その動きをマスで捉える事は難しいのと、何時潮目が変わるのか読み難いのです。
そのような事から、年内は少ない材料で取引を繰り返す構造になりますから、本来のREIT投資では様子見になりますが、短期売買も下手をすれば年内は±ゼロの決算になるかもしれませんので、そりつもりで臨む必要がありそうです。

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