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2014. 9.19.Up Dated. |
増資について考える |
2014年の増資はこれまでに20銘柄21件が実施されましたが、未だ増える見込みです。エクイティ市場が好調なうちにしっかり調達しようと考えての事だと思いますが、果たして投資家にとってどうなのでしょうか。 例えば、日本プロロジスリート投資法人の第3回増資(9/16払込)は250,096円/口の増資価格で、この金額での予想配当率は2.96%/年になります。 しかも、日本プロロジスリート投資法人の配当金には減価償却費の払戻しが含まれていますから、通常の配当金換算では2.50%/年になります。 この水準の配当率が妥当なのか否かは疑問ですが、投資法人側は配当率を考慮しての増資ではなさそうです。 前回の増資(2013年12月)の予想配当率は3.97%/年、前々回(2013年6月)は4.17%/年でしたから、約一年前の水準から▲1.21%/年も配当率が低下していますから、配当率を考慮してのエクイティ政策ではないと考えられます。 投資家の方も、約一年で30%近く下がってしまった配当率を甘受して増資に応じたのでもなさそうで、今の相場あれば、POで買った投資口を比較的簡単に売り抜けるだろうという算段からだと思います。 日本プロロジスリート投資法人の投資口価格は、既に原初価格(設立時払込価格)の250%超の水準に達していて、IPOが同じく110%の水準だったのと比べると雲泥の差があります。 元々投資口価格が原初価格の250%の水準というのは、通常の状態ではないのと、中長期的に見た巡航水準を上回った状態なのは確かです。 従って、REIT投資の基本である長期保有は前提でなく、今の相場であれば二年分の配当金以上の売買益を簡単に得られると踏んで増資に応じたと考えられます。 日本プロロジスリート投資法人の投資主構成は、個人は4.5%のシェアまで低下していて、REITの中でも最低水準になっていますから、NISAや本来のREIT投資を行う個人は、最早眼中にないと言えます。 投資家の中には、長期保有の配当型投資商品を望む方々もいて、これらの投資家を対象としてREITが作られましたが、残念ながらREITの中には自らの意思でこのカテゴリーから外れてしまった投資法人がいくつかあります。 従って、REIT投資では本来のREITの姿を追求している投資法人と株式投資と何ら変わらない投資法人を区別して見る必要があります。 REITを組み入れた投資信託も、本来はこの点を考慮して投資信託の性格に合わせて銘柄選別をすべきなのですが、未だそういうレベルには達していないのが現状ではないかと言えます。 |
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