コラムトップ
2014. 9. 5.Up Dated.
NISAは熟慮が必要か?

 この8月もREIT市場では調整が行われず、東証REIT指数は続伸しました。 例年8月は最も調整が訪れる月ですが、今年は違っていますので、昨年と比較をすると以下のようになります。

年月 東証REIT指数
月間平均値
REIT月間売買高
(金額;百万円)
月間売買高
増減率(前月比)
REIT指数
上昇率(前月比)
月間売買高と
前月末時価総額倍率
2013年7月 1,379.38 1,112,281 -20.39% 5.69% 16.83%
2013年8月 1,333.53 740,772 -33.40% -3.32% 11.99%
2014年7月 1,599.52 1,226,658 -2.39% 1.84% 14.37%
2014年8月 1,627.05 - - 1.72% -

昨年8月は、REIT市場での月間売買高は前月比▲33.4%と減少し、東証REIT指数の月間平均値も▲3.32%下落しましたが、今年は、売買高等のデータは未だないものの、東証REIT指数は1.72%上昇を示しています。
このように、今年は投資口価格の調整が殆ど行われず、右肩上がりの上昇になっていて、配当型投資商品のREITにとっては芳しくない状態です。(予想配当率が下がる一方)

結論から言えば、今年のNISA枠はREITに振り向けるのは不利だと言えます。
年内に無理してREIT投資を行えば、何れ訪れる調整局面で配当金以上のキャピタルロスが生じる可能性が大だからです。
勿論、調整はないと信じてイケイケで投資する人も居るとは思いますが、REITの中長期の動きは、配当型投資商品の傾向を示しますから、調整もなく一直線に上昇することは考えられません。
更に、REIT市場の取引は短期売買による売買益狙いが主流になっていて、相場も配当型長期保有投資商品のそれからは乖離していますから、NISA投資であっても売買益狙いの投資に変えるしかありません。
但し、売買益目当てとなれば、敢えてREITにする必然性はなく、株式投資の方が割り切れると言えます。
こうなると、NISAは今年の枠は消化を諦めるか、完全に短期売買と割り切って投資するかの二択になります。

では、REIT投資はどうなのかと言うと、年内は投資タイミングがなく、あるとしても12月中旬以降になると考えられますが、それも簡単な選別ではないので、REIT初心者や初級者には無理ではないかと思います。
逆に、REIT投資の中上級者にとっては、冷静に年内の推移を見て12月末から来年以降に照準を当てて準備する期間になりますから、面白い時期だと言えなくもありませんので、市場の推移を少し離れて見ることをお勧めします。

Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.