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2014. 7.25 Up Dated.
失業率と人手不足

 失業率が低下し、サービス・小売業等で人出不足が深刻化しているようです。
これらの業種では、管理部門の人件費は固定費になりますが、接客部門の人件費の大半は変動費に該当します。従って、受注や売上を確保するには、先ず必要な人員を確保し、次に人件費を抑制する手法を取ります。
既にこのやり方が広く定着していた所に、失業率の低下によって必要人員の確保という最初の課題をクリア出来なくなりましたから、多少の人件費アップを図っても思うように人が集まりません。
団塊の世代のリタイヤと伴に、日本の労働人口が慢性的に不足するのは分かってはいましたが、概してこういう問題に対して日本は苦手のようで、先送りした結果後手に回るケースが目立ちます。年金問題はその典型で、年金保険料が潤沢に入っていた時に大盤振る舞いをし過ぎて制度を大きく歪めてしまいました。
話を戻すと、人件費の問題は企業経営にとって最も重要で、且つ難しい問題でもあるので経営者の資質が反映されます。外食産業等では長時間労働と低賃金で収益を確保してた所も多く、これらの会社は人出不足に直面すると対処能力がなくなりますが、本質的には経営者の資質が低いからだとも言えます。
今までの日本は、コスト削減を重視し、人件費も抑制し、必要人員を絞り込んだ経営を進めてきましたが、実はその背景には経営者の資質の低さが潜んでいます。
企業経営を長期で考えれば、一見余剰とも思える人員を抱えるだけの経営センスと力量が必要ですし、それを可能とするような人事制度・給与制度を創り出さなくてはなりませんが、制度を担当部署に立案させる方法では上手く行きません。
本来は経営者自らで制度を考え組み立てなくてはならないのですが、順送りで昇進した役員・経営者にはその事務能力も乏しいのが現実です。
投資の世界でこのような見方をする人は少ないようですが、経営者並びに管理職の資質を最も端的に表すのが適正人員の考え方とそのコントロールにあることは歴然なのです。
従って、このような見方が投資の世界で定着すれば、企業も変革を余儀なくされますので、現状が企業を本来のステージに戻す契機になればと思います。

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