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2014. 7. 4 Up Dated.
相場に息切れがあるのか?

 

上のグラフは、過去5年の1月〜6月の東証REIT指数の日次推移を表しているものですが、赤線の今年は年初から一度も調整局面を迎えていません。
又、昨年の動きと比較すると全く異なっていて、どちらかと言うと2010年、2012年と似た傾向ですが、例年GW明けから調整局面を迎えていますから、この点でも今年は特異な動きになっていると言えます。
問題は、一度も調整局面を迎えずにこのまま推移するのかですが、常識的に考えれば、年内、それもここ1〜2ヶ月の内に調整局面が訪れないと、危険な相場が形成されてしまう可能性があります。仮にこのまま右肩上がりで上昇を続けて1,600ポイントを越えて、1,650乃至は1,700ポイントに向けて上がり続ければ、ミニバブルになります。元々通常の相場であれば上下を繰り返しながら動くものですが、単純に右肩上がりとなると、何となく胡散臭さが付きまといます。
REITの取引市場は、証券会社(自己取引)、金融機関、投資信託、外国法人、国内個人の5者で95%程度の取引シェアを持っていて、且つ、キャピタルゲイン狙いの短期売買中心の取引になっています。
従って、穿った見方をすれば、短期売買主体が何かの思惑を持って過去とは異なった動きを演出していると言えなくもありません。
その思惑とは、最終的には投資利益の増加ですから、相場を右肩上がりに誘導することで、より多くの利益を得ようとしていると考えられます。
但し、この5者は取引市場の常連なので、右肩上がりの相場が崩れた時のババを掴むのは避けますから、新たな投資家群が参入してこなければ今の相場は保てません。
では、どういう投資家群を狙っているのかですが、恐らくNISA投資家がターゲットではないかと考えられます。
NISAは依然として未消化の率が多く、このままでは年内の枠が消滅してしまいますから、何れは投資しなければなりません。その投資先の一つしてREITは候補になりますから、短期売買主体が上昇相場を演出して誘導し、高値で掴ませてから売り抜くという可能性も否定出来ません。
NISAが始まった年に、直ぐにNISA投資家に高値掴みさせては、この制度の根本が揺らぎますから避けたい所ですが、今のREIT相場を放置すれば、そのような危険性も感じられます。
「相場を動かす事なんて出来ない」という声もありそうですが、REITならば比較的簡単に為し得ます。 REIT市場での買越し常連主体である金融機関が中立になったり、又は、小幅な売りに回れば、直ぐに相場は調整され、本来のREITの動きに戻ります。
今は、金融機関が支えているような構図になっていますから、その支えが市場に歪みをもたらしているとも考えられますので、この辺のさじ加減を見直すことで、短期売買主体の思惑を回避することが出来るのではないかと考えています。

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