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2014. 6.27.Up Dated.
投資口価格の見方

 先週土曜日に年2回の定例になっているREIT投資家セミナーを開催しました。
偶々前日の20日に東証REIT指数が1,600ポイントを超えたことで、内容的には丁度良かったのではないかと思います。
今回の参加者も常連の方が多かったですが、中には初めて参加される方もいらしたのと、何度目かの参加で漸く内容が理解出来るようになったとの声もありました。
このセミナーはもう5年近く実施していて、最初の頃はREIT初心者も意識していましたが、最近はREIT投資経験者をメインにしていますから、全く投資が未経験という方には向いていないかもしれません。又、株式投資の感覚でREITを見ている人にも違和感があるようで、REITの投資口価格の推移や上限の見方に戸惑うかも知れません。
株式では特に確たる材料がなくても景気対策への期待感や業績回復基調への転換予測等によって先行して株価が上昇しますが、REITではそういう見方は限定的になります。
例えば、2020年のオリンピック開催によって建設関連の株価は上昇するかも知れませんが、REITへの影響はそれ程ではありません。一部のマスコミはオフィスビル需要が高まると予測したりしていますが、オリンピックと事務所需要の因果関係は小さいですし、オリンピック終了後のことを考えると、ボラティリティを大きくするだけという見方も出来ます。
REITの投資口価格の今後の推移の予測についても、株式投資とは異なった見方をしますので、投資口売買中心の投資家にとっては違和感があるかもしれません。
東証REIT指数が1,600ポイントを超えたことで、このまま一挙に上昇基調に向けて走るという期待感もあったようですが、REITはそのようにはなりません。
REITの取引市場は短期売買主体の投資家の取引で主導されていますから、投資口価格が上昇しなくては大きな利益が得られませんが、一方で行き過ぎれば調整されるので、何時までも抱え込むようなリスクは犯しません。更には、取引は常連の投資家間で行われていますから、容易にはババを掴んでもくれませんので、新たな投資家群を引っ張り込まないと投資口価格の上限が外れません。
従って、今の状況は新たな投資群を誘引しようとしている局面なのかも知れませんが、少なくとも私のセミナーに参加する投資家は乗じられませんから、別の個人投資家群がターゲットになります。当面はNISA投資家群への期待があるのかもしれませんが、この投資家も投資未経験者は少ないようですから、簡単には乗ってこないと思います。
そうなると、何れは元の安定的な水準に落ち着くことになり、上がり幅が大きいと調整幅も大きくなりますから、この辺りを冷静に見極める必要がありそうです。

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