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2014. 4. 4.Up Dated.
日本リート投資法人の上場

 双日系の投資法人の日本リート投資法人が4月24日に東証へ上場予定と発表されました。スポンサーである双日は、総合商社である旧日商岩井と旧ニチメンが合併した企業で、これで総合商社系のREITが全て揃う事になります。
既に、双日を除いた総合商社は、三菱商事系の日本リテールが2002年に、丸紅系のユナイテッド・アーバンが2003年に、そして三井物産系の日本ロジスティクスと伊藤忠系のアドバンス・レジデンスが2005年に上場を終えていますから、これらの上場から9年も遅くなりました。
但し、双日がREIT進出を考えたのはもっと古く、確か2004年頃に請われてREITについて話をした記憶があります。
当時の事は余り覚えていませんが、REITと私募ファンドについての説明とREIT向け開発型物件についてだったと思います。その後は、音沙汰がなくそのまま立ち消えになったと思っていましたが、目論見書を見ると2010年9月に投資法人を設立していますから、継続的にREIT進出を検討していたのかもしれません。
今回上場を発表した日本リート投資法人は、2012年から再開されたREITの新規上場ラッシュの中では、好調なREIT市場に全面的に依存した組成になっていると言えます。
上場時組成物件はオフィスビル13件とレジデンス7件の20物件で、取得予定金額は704億円になっていますが、これらのポートフォリオNOI利回りは5.0%/年と発表されています。
2012年上場のケネディクス・レジデンスから2013年の日本プロロジスまでの6銘柄の直近決算でのポートフォリオNOI利回りは5.07〜6.09%となっていて、単純平均値は5.76%/年になります。
これらの先行上場銘柄は、REIT市場を長期で見て、新規上場ではポートフォリオNOI利回りで先発銘柄に優位に立つという考え方だったと言えます。そして、これにより概して2012年からの新規上場銘柄の投資口価格は好調に推移していますが、日本リートの場合は、投資口価格の上昇を見込んだポートフォリオNOI利回りの設定になっています。
従って、上場後の伸び代が先取りされていると言えますから、IPO価格がどの水準で決まるか注目です。
基準は1口25万円になっていますから、若干のディスカウントになるのか、それともプレミアムが乗るのかですが、この3月のREIT市場を見ると、例年のような期末の勢いがなく、必ずしも上潮とは言えませんから、意外と厳しいIPOになるのかもしれません。


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