コラムトップ
2013.12.13.Up Dated.
NISA向け投資商品の組成
 
 NISAが始まっても、これと言った投資商品が少ないのが現実です。
長期投資だということと、配当重視だという点でREITが最右翼なのですが、一般論としてそれは分かっていても、いざ銘柄を選別しようとすると困ります。
REITの投資リスクの大半は保有不動産に帰結しますから、投資法人毎に異なっているポートフォリオの内容を見て判断することになります。
所が、不動産の良否を専門的に見分けるには10年程度の不動産経験では無理であり、もっと長いキャリアが必要になります。
こうなると、不動産業界に身を置いていないファンドマネジャーでは、仮に銘柄を選別したとしても、その理由と根拠を上手く説明することが出来ません。従来であれば、取り敢えず市場評価に準じて選別していれば良かったのですが、NISA用となると、必ずしも従来の考え方だけでは通用しません。これが、多くの証券関係者が敢えてREITに言及しない原因かも知れません。
分からなければ勉強するなりしなければなりませんが、これが簡単に理解出来る代物でもありませんし、かなりの労力を必要としますから、現実は諦めざるを得ません。
これがREITを取り巻く環境の現実ですが、NISAが始まった事で、投資信託にしろREITは外せませんから、どうしても銘柄を選別しなくてはなりません。但し、合理的な説明が困難なので、インデックスに準じた、又は株式投資の手法によって若干の修正を加えた選別程度にならざるを得ません。
然しながら、純粋にNISA用投資商品を追うと、投資信託では「REIT+債券投資(国内債券)」に落ち着きますが、これでは投資家の期待利回りを考えると運用手数料は余り取れません。
投資信託の組成では、先ず運用手数料の目論見、そして目標リターンの設定になり、投資家の利益は劣後していますから、この順序を逆にするか、せめてもう少しバランスを採って欲しい所です。
NISA用投資商品に真摯に向き合う所があれば、先ずREITの選別に挑戦し、少しずつ経験を重ねて習熟して行くようなREITのファンド・オブ・ファンズを組成し、これをNISA用として投資家に提示するのが面白いのではないかと思います。

Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.