コラムトップ
2013. 9.27.Up Dated.
NISAにおける投資収益の考え方
 
 NISA投資を始める前に投資収益に関する前提を確認しておく必要があります。

◇その1
「期待するリターン(投資収益)が高ければ、リスクも高くなる」
投資ではリターンとリスクが裏表になりますから、高いリターンを求めれば損失リスク も高まります。(ロー・リスク、ハイ・リターンを謳う商品はまがい物です)
仮に、投資商品でハイ・リターンを前面に出す商品があったらとしたら、その分損失リスクが高まりますから、NISAの枠では投資せずに、損益通算の出来る一般投資で検討すべきです。(NISAは非課税なので損失が生じても、他の投資利益と合算して損失分を控除することが出来ません)

◇その2
「長期投資での期待リターンの数値を正しく設定する」
海外投資資金の例で見れば、長期安定型投資での期待リターンは5.0〜5.5%/年に設定されていますが、これはプロの投資家(年金資金投資等)の長年の経験から導き出された数値です。
これを超えると、長期安定投資とは言えなくなるので、異なった投資姿勢に転換しています。
但し、欧米投資家に見られるこの期待リターンは、国債の利回りをベースにして、その利回りに一定の上乗せをしていますから、それを考慮する必要があります。
因みに、欧米の現在の国債利回りは以下のようになっています。
 ・米国債(10年物) 約2.5%/年
 ・英国債(10年物) 約2.25%/年
 ・独国債(10年物) 約2.0%/年
一方、日本の国債利回りは約0.8%/年で、欧米に比べると1.0%以上低くなっていますから、日本国内の投資目標リターンもその分下げて考える必要があります。
従って、NISAのような長期保有投資での目標リターンは4.0%/年前後が妥当だと言えます。
4.0%前後の期待投資収益をどう見るかは人によって異なりますが、個人向け国債の利回りと比較すれば、十分な投資収益だと考える人も居ますが、NISA投資枠100万円で年4万円程度では物足りないと考える人も居るかもしれません。
然しながら、ここが最も大事な出発点で、この投資収益の設定を間違えてしまうと、いくら投資の勉強をしても成果が得られません。
例えば、色々な仕組みを導入し、複雑な組み合わせでもっと高い投資収益を謳う投資商品もありますが、どのような仕組みを使っても投資リスクを大きく減らすことは出来ませんので、プロの世界では通用しない謳い文句なのです。
NISAは個人を対象としているので、それらの情報を持っていないだろうとの事で、 前述の目標投資収益(4.0%/年前後)を超えた投資商品を勧められる場合もありそうですが、それは売る側にメリット(販売手数料欲しさ)があるからなのです。
特に、従来投資に余り手を染めていなかった人は、現在の投資環境は百鬼夜行だと考えておいた方が無難です。
大事な虎の子を他人の甘言に乗せられて損をしてしまうのは一番悔しいですから、先ず は、慎重に構えて正しい投資知識を備えてからにして欲しいと思います。

Copyright (c) SYC Inc. All rights reserved.