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2013. 7.26.Up Dated. |
NISAによって変わること |
REITの決算説明会では、NISAに関する質問は殆ど出ません。REITにとっては大きな要素にも拘わらず、証券アナリストの人達がスルーしているのは何かあるのではと勘ぐりたくもなります。 証券会社にとっては、NISAの資金がREITに流れてしまえば旨味がありません。せいぜい最初に投資をする時の手数料しか見込めず、その後は証券ビジネスへの貢献は殆どありません。 一方、投資信託ならば、関連会社に運用報酬が入りますし、その後も運用資産の売買で手数料が得られますので、NISAには投資信託を勧めるのが一般的のようです。 売る側の論理優先は日本の投資市場の構造ですから、簡単には改められませんが、NISAが動き始めると、今までの予定調和が崩れる可能性があります。 機関投資家等の大口投資家を中心にした市場では、投資家・証券会社双方に暗黙の了解があり、お互い余り厳しい事を言わないという風潮があります。 又、REITの資産運用会社も投資家への説明は従来の慣習を踏襲していて、説明内容が合理的否かの検証を怠っている感があります。 その一つに、投資法人が頻繁に引用する評価損益があります。 評価損益とは、保有不動産の簿価と不動産鑑定価格の差額であり、プラスであれば含み益、マイナスであれば含み損となります。 REITでは決算期毎の不動産鑑定評価が義務付けられていますから、これを説明に引用するのは仕方ないとも言えますが、問題は評価損益の公信性です。 特に不動産については登記制度にさえ公信性がないのが実状ですから、不動産鑑定制度にあるはずもありません。 また、REITの合併例を見ると、合併時に行う不動産鑑定評価では直近決算期の不動産鑑定価格と大きな乖離が出るケースも多々あります。 このような実態を大口投資家は斟酌しながら取引をしていますが、果たしてこれがNISAを利用する個人投資家に通用するかが問題です。 仮に、個人投資家から評価損益を投資判断要素として使えるのかという質問が出たらどうするのでしょうか。 資産運用会社はこれに対して無条件でYesとは言えません。 然しながら、投資判断には使えないと言えば、毎期の不動産鑑定費用の支出が問題となりますから、どちらとも言えない、又は、それは投資家の考え方次第だと逃げる事になると思います。 このように曖昧な状態でも容認されているのが予定調和の慣行ですが、投資損益が自己の利害に直結する個人が素直に受け入れてくれるでしょうか。 また、市況見通しでも同じことが言えます。 REITからは決算期毎に賃貸市場の現状と今後の見通しが説明されますが、特に見通しが違った場合はどうなるのかです。 オフィスビル大量供給があった2012年問題の時もそうでしたが、2011年頃からオフ ィスビル賃料は底入れと説明する投資法人がかなりの数に上りました。 これは、2012年問題を無視した見通しなので、投資家をミスリードするのではという指摘を行いましたが、このような厳しい見方をする専門家は殆ど居ませんでした。 甘い見通しや合理的でない予想でも許されてきたのが投資市場の慣行ですが、このようなエクスキューズが今後も容認されるのか否かは、NISAのスタートと伴に改めて考え直す必要がありそうです。 |
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